研究紀要第66号 「中学校理科の学習指導に関する研究」 -072/106page

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(3)「力」の単元においては,目に見えない力の操作定義づけや,力に関する諸事象を探究しながら力の概念を理解させることを目的としているが,「力は目に見えない」という先入観念があるために興味を示さず,また,教師の適切な演示実験や生徒実験などを取り入れ,授業を展開しても次々とつまずき,理解が不十分になってしまう
  しかし,中学校の理科においては,この単元をとおし,抽象的な物の見方,論理的思考など理科における本質的な学習に入る単元であるため,ここでそれらの学び方を身につけておかないと,以後の学習に支障をきたし,「理科嫌い」をつくりやすくなる。

(4)理科教育においては,生徒に,「自から学ぶ意欲・態度の育成」としての自己教育力を高め「主体的に変化に対応できる個性的人間の育成」をめざす必要がある。そのためには,自ら課題をつかみ,解決策を企画・実践し,問題を解決するとともに,他の面への応用に努めるなど,科学的な探究過程を一貫して体験させること,しかも,興味・関心をもたせ,意欲的に学習にとりくませるようにする必要がある。

(5)標題の「バネの伸びとおもりの関係」は力の単元の第一歩でありし,今後の学び方や,学習内容の理解のため,非常に影響が大きいものと思われる。そのため,下記のような方針と後述のような仮説・実験法・指導過程をもって,今まで述べた諸問題点を解決していくようにしたい。
1) 興味・関心を高め,意欲的に学習させるため,身近な素材を用いた主体的な学習活動ができるようにする。
2) 自己教育力を高め,科学的な学び方・態度を育成するため,「バネづくりから,法則性の発見」まで一貫して,主体的・体験的な学習を展開させる。
3) 生徒一人一人の個性・能力に対応し,一人一人が精一杯活動できる教材・教具の開発,指導過程の工夫を行い,かつ,基礎・基本事項を全員が十分習得できるようにする。

(6)仮 説
 「力」の学習に対して,興味・関心が低く,主体的に学ぶ意欲と態度が十分でない生徒に身近な素材を用いたり,簡単な実験を通しながら,主体的・休験的な探究過程をふまえた学習を展開すれば,興味・関心の高揚,意欲的な学習態度,基礎・基本的事項の十分な習得がはかられるだろう。
 ただし,本題材の指導は,「力」の単元の1・2時に当たるため,特に,次のことを中心として研究を進めたい。
(1)身近な素材を活用した教材教具の開発とその指導法
(2)生徒の興味・関心を高め,意欲的な学習態度への変容
(3)基礎・基本を中心とした学力の変容と効果

2.素材の活用と指導法

(1)身近な素材を用いたバネの製作

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