研究紀要第66号 「中学校理科の学習指導に関する研究」 -078/106page

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(5)指導結果と考察
1) 教師側からの指導反省
  <第一時限>
ア カのはたらきの導入として,ばねの製作を取り入れたことにより,生徒が積極的に活動している姿が見られた。生徒たちは,市販のバネを見て,私たちにはできないだろうと思っていたが,作ってみると意外と簡単に,しかも,きれいなできあいだったので感動した生徒が多く見られた。また,手の器用な男子生徒は,女生徒に手伝ったりしている姿が見られた。

イ 時間内に,生徒一人一人がバネの実験装置を完成するまでにはいたらず,次時まで作っておくようにした。時間内で完成させるように指導過程を考慮しないと,生徒は成功感が味わえなくなってしまうと思われる。

ウ バネの製作のしかたの個別指導は,班どとに援助指導を行ったが,製作途中のつまずきについて,一人一人までは目がとどかなかった。教師への依頼心がまだまだ強く,自主的に考え,解決していこうとする態度の育成がもっともっと必要であったと思われた。

エ バネを巻くとき,生徒は必要以上の力を加え,「バネ巻き台」を動かしてしまい,連続してきれいに巻くのは,生徒にとって大変むずかしかったようである。特に,軸を回転させるとき,軸が左右に動いてしまって,ピアノ線がきれいに巻けなかったので,左右に動かないように工夫する必要があると思われる。(大型クランプで止めておくとよい。)

  <第二時限>
オ 生徒の実態を考え,測定のしかたや注意点の説明に約20分もかけてしまったので,一人一人に測定させる予定が,グループで1回になってしまった。したがって,結果をグラフに表す時間も少なくなり,大いそぎで進めたため,生徒が考える時間が少なくなってしまった。もう少し,生徒自身にまかせ,自主的・主体的に探究させるようにするとよかった。

カ 10g程度のものを日常生活の中から見つけさせ,おもりとして使用させた。生徒が考えたものは
消ゴム  サインペン 鉛筆 生徒手張 はさみ  くぎ
などであった。精度として問題があるが,重さという感覚を日常生活と結びつけるという面では役立ったと思われる。

キ グラフ化をするとき,バネバカリの重り入れとして,カップメンの容器を用いたため,バネと物指しの間が広がりすぎて,測定誤差が大きくなりすぎ,誤差を考えた直線を引くのに苦労した班もでてきた。おもりは,やはり,学校備品のおもりを使用した方がよかったかとも思われた。

ク 第一時限・第二時限を通しても,生徒自身の身近なものを用いて実験するようにしたため,生徒は非常に忙がしかったし・普段よりさわがしい授業となってしまった。しかし,それだ仇生徒自身が主体的に考え,活動して学んでいる様子が多く見られ,どの生徒の目もイキイキとし,本当に楽しそうに見えたし,授業終了時刻になっても,まだまだ熱心にとりくんでいた。


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