研究紀要第66号 「中学校理科の学習指導に関する研究」 -081/106page

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 以上の結果を見ると,全体として,20%以内の小さな六角形が,75%以上の大きな六角形となり,わりあい安定した形となっているので,十分な向上があったと思われる。また,グラフの書き方・比例関係など,基礎・基本となっているものは100%達成しているし,(6)のように,推論して求める応用的なものも約75%は定着しているので,効果は大きかったと思われる。

(6)結論
 以上の通り,「バネの伸びとおもりの重さの関係」を中心に,生徒自身によるバネづくりから実験装置の製作,測定,グラフ化,グラフの解釈と法則化と,一貫した,主体的・体験的な学習を進めた結果,生徒の興味・関心の高揚はもちろん,学力の向上も十分得られたので,「身近な素材を活用」し,主体的・体験的に学習させる仮説による指導は効果があったと考えられる。特に,バネづくりをしている一人一人の生徒のイキイキとした表情,身近な素材から求めたおもりを何にするか真剣に討議する様子,グラフの書き方を100%達成したことなどは,指導目標を十分達成したものと思われる。

3.おわりに

 「身近な素材の活用」としてテーマを決め,どんなものをとりあげ,どのように指導したらよいかと一年間考えたが,あまり良い案が見い出せなかった。なぜなら,学校にある備品を用いれば,はるかに効率がよく,効果的にできるという固定観念が我々教師の頑の中にこびりつき,わざわざ面倒な自作教材を作り出そうと思わなかったからである。しかし,生徒の興味・関心,意欲,そして学力も,もう一つ向上していなかったのも事実であった。
 本年度,たまたま一学年理科を担当し,良いバネが十分なかったことから,これを機会に,この研究を進めてみた。やってみたら,案外よいバネが,簡単に出来たばかりでなく,生徒たちの学習態度が予想外に大きく変わり,これが以前授業で見られた生徒と同じ生徒かと思うはど変わってしまい,私自身びっくりするほどであった。
 今まで,理科指導の本質である「自主的・主体的な学習」「観察・実験を重視した指導」「考える力の育成」「自己教育力の向上」など,自分ではある程度わかっていたつもりでいたが,また,そのように指導していたつもりでいたが,「もっともっと本質的なものがあるのだなぁ」と,おぼろげながらわかってきたように思う。


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