研究紀要第66号 「中学校理科の学習指導に関する研究」 -082/106page
3.簡易電流計の自作教材を通した「電流回路」の指導(実践研究)
1.はじめに
中学校第2学年理科「電流回路」の指導においてほ下記のような問題が多く見られるため,次のような手だてを工夫してみたい。
(1)問題点
1) テレビ,冷蔵庫など電気器具は日常生活の中で多く用いられているが,電流教材に関しては興味・関心に大きな個人差が見られ,電気はむずかしい,電気はおそろしい,といった先入観を持つ生徒が多く見られて,受身の学習態度になりがちである。
2) 生徒は,小学校で直列回路や並列回路の電流と電圧の基礎的なきまりなどを学習してきているが,それでも,実験技能に個人差が顕著に見られ,実験に積極的に参加する生徒と,傍観している生徒が固定化しやすいし,また,電流回路に対する基礎的・基本的事項の理解や定着も悪い。(2)改善の手だて
電流単元への導入の段階において,身近な素材を用いた簡易電流計を自作する活動をとり入れ,生徒一人一人が創意工夫することや,それを用いて操作する活動のよろこびを味わわせることにより,電気はむずかしいという先入観が取りのぞかれ,学習意欲が高まるのでないかと考えた。
そのため,可動コイル型電流計と可動磁石型電流計の2種類の電流計のつくり方を参考に,私の考えた簡易電流計の製作を通した指導法を次節に述べてみたい。2.素材の活用と指導法
(1)簡用電流計のつくり方
1)可動コイル型電流計
写真−1 可動コイル型電流計ア コイル部の製作
図−1 コイルの作り方
ア) 単一乾電池に,φ=0.5mmのエナメル線を3回まき,中央で1,2回コイルにからめて接着剤で固定する。