研究紀要第66号 「中学校理科の学習指導に関する研究」 -087/106page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

 イ) 意欲を高めるのに役にたたなかった理由
 ・ 動くしくみがよくわからないので意欲がおきなかった。

ウ 生徒自作簡易電流計を使っての,「直列・並列電流回路」の実験をした生徒感想(写)
・ 簡易電流計での実験は正確には測れないけれど,自分で作った物なので,あきずにやることができたので,楽しかった。
・自分でつくった電流計でいろいろなことがたくさんしらべられた。また,自分でつくったので実験したい。

エ 簡易電流計を使っての生徒の発見(第2校時,製作・実験時において)

 右の図8における実験の3(丸囲み)の結果より,豆電球に並列に電流計を入れると,豆電球が暗くなり,豆電球を流れる電流が小さくなると同時に,電流計を流れる電流が大きくなったことに気付いた生徒がおり,電流計の使い方の教師指導と生徒の理解に大変役立った。
   1(丸囲み) 2(丸囲み) 3(丸囲み)
場所 1(丸囲み) 2(丸囲み) 3(丸囲み)
明るさ 普通 普通 暗く
針の動き具合 小さくふれた 小さくふれた 大きくふれた

図−8 Y君の実験結果(写し)

3.まとめ

 図−9の記録は,製作が終わったとき書いたR男の感想である。この簡易電流計の製作と,前述の指導結果から次のようなことが言える。
(1)材料は,生徒の身のまわりにあるものを主として使用しているので,安く製作ができた。
(2)構造が簡単で,電流の流れる筋道がよく理解できている。
(3)過電流を流しても破損することがないので破損をおそれて消極的になることがない。
(4)自分で作ったというよろこびを味わえる。
  その結果,電流の学習においては,法則やきまりを理解する以前に,実験器具を正しく使いこなすことが必要であり,また,自由自在に使いこなすことによって学習意欲も高まってくると思われる。
 ここでは,簡易電流計の製作により,理科の器具が身近に感じるようになったという意識が生まれたということは,今後の電流の学習をする上で大きな成果が見られ,適切な指導といえる。

 たまには,こういう授業もいいと思った。
高く感じていた理科の「器具」が,簡単な構造でお金もかからず,自分の手でできて,よりいっそう理科に興味が出てきたから。理科の器具が身近に感じるようになった。

図−9 R男の簡易電流計製作の感想記録


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。