研究紀要第66号 「中学校理科の学習指導に関する研究」 -104/106page

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  あ  と  が  き

 近年,理科教育にかぎらず学校教育の全休を通じて,「自ら学ぶ意欲」,「自ら学ぶ態度」を育てることに,特に大きな期待がよせられている。
 学習指導の各場面において,「学習意欲がなくて困った」という言葉がよく聞かれる。しかし,教師はそれだ桝ことどまらず,どこに原因があるかについて十分に分析を行い,その結果に基づき適切な指導の手をさしのべることを忘れてはならない。
 要因分析の視点として,次の4要素が指摘されている。すなわち,1(丸囲み)子どもたちに興味・関心があること,2(丸囲み)目的が明確に意識されること,3(丸囲み)学習の仕方が予測されること,4(丸囲み)意欲をわきたたせる人間関係が確立されていることなどである。
 これらは・いずれも重要な要素であり,欠落部分があると意欲や自発的行動は生れないと言われている。デューイは,学習のはじめに,「学習課題の認識の重要性」をあげている。それは子どもたちが・課題をいろいろな角度からみて,その全体像をとらえることまでも含むものであって,課題の名称を確かめることではないのである。すなわち・学習の出発点は,目的と見とおしをも含めて把握することに意義があると述べている。
 今回の研究は,理科教育を通じ,「自ら学ぶ意欲の高まりと,それを持続する力」を養うための一方法として身近な素材の活用と指導法をとりあげ,実践を試みたところであるが,必ずしも十分な成果をあげたとは言いきれない。しかし,子供たちの身のまわりの事象をとりあげた学習指導は,意欲を育てるために極めて重要な側面であり,この面からの指導へのアプローチが大きな成果を期待できることは事実である。
 本冊子が,各教育現場において,子供たちが楽しく意欲的に授業に参加できるための一助となれば幸いである。

   研 究 委 員

委員長 渡 辺 専 一 (科学技術教育部・部長)
(前)委員長 大 越 勝 忠 (県立大笹生養護学校・校長)
委 員 高 野 忠 夫 (科学技術教育部・係長)
 〃  上遠野 洋 明 (科学技術教育部)
 〃  佐 藤 輝 夫 (    〃    )
 〃  村 山 正 之 (    〃    )
 〃  大 室 幹 男 (    〃    )
 〃  小 山 泰 雄 (    〃    )
 〃  黒 須   聡 (    〃    )
 〃   鹿 俣 和 子 (    〃    )
(前)委 員 亘 理 尚 寛 (県立福島中央高等学校・教頭)
(前) 〃  大和田 紀 男 (東和町立上太田小学校・教頭)
研究協力員 杉 森 敏 夫 (福島市立蓬莱中学校教諭)
 〃  荒   哲 也 (国見町立県北 〃   )
 〃  佐久間 博 美 (福島市立吾妻 〃   )
 〃  島   義 一 (川俣町立山木屋 〃  )

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