研究紀要第67号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第2年次」 -014/066page
事 例 2 (小学校 2)
同性の友だちをいじめる女子小学生の事例
1.主訴 いじめ
2.対象 小学校6年,女子,Y子
3.問題の概要
● 身体に欠陥のある子のシューズをかくしたり 下校中にその子の悪口や気にしていること(例 えば,デブ,のろま,ぐず)を言って泣かせる。
● 日ごろ仲良くしている友人K子に,別の子が 近づいて遊んでいる場面などを見ると,その後 で近づいた子に対して「おまえはいばっている, なまいきだ」と言ったり,「これからはK子と 遊ぶな」といやがらせをいうことが5年生の2 学期の後半ごろからみられた。
4.資料
(1)心理的次元
● 知的発達
集団式知能検査偏差値は57,学業成績は普通で ある。
● 性格傾向
初孫ということもあり,家族からかわいがられ て育った。乳幼児期から甘えっ子で,妹が生まれ るまで,何でも自分の思い通りにしてきたところ がある。
● 心理検査
・ 性格検査(YG)
判定はA’型である。劣等感をもちがちで感情が ゆれ動きやすく,気分の変化が大きくなりやすい。 自信のなさから,作業活動への取り組み方が消極 的になっている。一方,自己顛示欲もあり,目立 った行動をしたがる傾向がみられる。協調しよう とするところはある。
・ 人物画(HFD)
人物画から理解できること。
- 情緒が不安定,未成熟,幼児的,依存的。
- 他人から注目されたい,華やかさを求めたい。
- 外界からの批判や他人の意見に対する過敏性疑惑,警戒心がある。
- 他人に対して批判的,軽蔑の態度をもつ。自尊心が高い。
- 不安を示す。攻撃性をもつ。
(2)社会的次元
● 家族構成
父…35歳,高校を卒業した後,会社勤めをしている。その後,婿養子の形で結婚する。おとなし い方で,家の中ではあまりしゃべらない方である。本人のことについては,不安を持ちがちで 心配のあまり妻と言い争うことがある。