研究紀要第67号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第2年次」 -026/066page
事 例 4 (中学校 2)
集団で規則・約束破りをする女子中学生の事例
1.主訴 規則・約束破り
2.対象 中学校3年,女子,A子,B江,C美
3.問題の概要
● A子,B江,C美の3名は中学2年の5月ごろから常に行動をともにするようになった。
● 3名は中学校2年の2学期から,学校の規則
- 約束を意図的に破るようになった。
- 登校時及び授業などに必ず「2・3分」遅刻する。
- 制服を着て登校しない。
- 起立,礼,着席の号令に従わない。
- 教室内でバレーボールでパスをしたりキャッチボールをする。
- 授業中,大声で名前や愛称を呼び合ったり,授業に関係のない話を交す。
- 清掃をしない。
- 同じ髪飾りをしている,など
● 昼休みなど,他人を指さし奇声や嬌声を上げる。
● 若い男性教師を追いかけ嬌声を上げる。
● 特定の女子生徒をいじめる。
4.資料
(1) A子
● 知能・学業
教研式知能検査 SS60。学力は中の下でかなりのアンダーアチーバーである。
● 性格・行動の特徴
容姿端麗であるが言葉づかいは粗暴。「女だてらに…」の行動が多い。悲観的で衝動的な言葉のかげに自分をよくみせようとする意図が働く。
● 家庭環境
父子家庭。食事のしたくや洗濯など家事は主にA子が行う。父親は時にA子を棒で殴るなど暴力的である。参観日によく来校する。
(2) B江
● 知能・学業
教研式知能検査 SS44。学業成績は下位である。
● 性格・行動の特徴
普段はおとなしいが,A子,C美と一緒になるとけたたましい声を上げる。自己中心的で,「〜してくれない」の発言が多い。
● 家庭環境
両親,本人の3人家族。母親は再婚,B江は連れ子である。母親は派手好きで社交的であるが,B江を親身になって育てていない。父親とB江とはお互いに違和感を持っている。
(3) C美
● 知能・学業
教研式知能検査 SS46。学業成績は最下位グループに属している。
● 性格・行動の特徴
言行不一致で,特に嘘言が目立つ。付和雷同的で金切り声をよく上げる。一つのことにいつまでもこだわるなど神経質なところがある。
● 家庭環境
祖母,両親,兄,本人の5人家族。夫婦共働きで,二人とも「忙しい」「疲れた」が口癖になっている。両親とも放任的であるが,過期待をしている。兄も反社会的行動を持つ。
(4) 3人に共通する問題
● 成績がよくなく,かなりのアンダーアチーバーであるが,テストの結果には敏感である。