研究紀要第67号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第2年次」 -028/066page
供の成長への関心を高めること,母子で食事をと もにつくったり,家族全体で団らんの機会をもつ ことなどを絶えず働きかける。
7.指導援助の経過
(1)学級づくり
● 学級担任の決意
- 毎朝,一番先きに学級に行く。
- 常に生徒のまわりにいる。
- うちとけて仲良く話し合える学級をつくる。
● 時間を守るしつけ (4〜6月)
- 自ら,授業の終始は勿論,すべての教育活動の時刻を守る。
- 遅刻を許さない姿勢を示す―遅刻をする生徒と徹底して話し合う。
● 公平,公正,正義の徹底 (5〜10月)
- あらゆる場面で,不正を見逃さない。
- 差別的学級経営をやめる―生活班の廃止,公平な座席づくり,短学活の工夫。
- 道徳,特別活動の授業のねらいと主題の再吟味。徹底した指導。
● 協働の実践 (5〜11月)
- リーダーの育成―学級をよくしようと考える7人の生徒との話し合い,目標設定。
- 給食を7人の生徒とともに配膳。
- 体育行事にともに参加
● 生徒との1対1の交流 (6〜11月)
- 「生活ノート」でのふれあい。強制せず書く生徒を増やしていく。
- 生徒とのかかわり方の研修―ロール・プレイングで,子供の中に入り込んでいく練習。
● 秩序の回復(9〜11月)
- 「私たちのクラスを一番いいクラスにしよう」
- 「いいことはわがクラスから」
(2)指導体制
● 学級担任 父親的役割
● 技・家担任 女子,54歳,母親的役割
● 音楽担任 女子,24裁,姉的役割
● 各教科担任 学習相談
● スーパーヴィジョン 教頭(3)指導援助担当者の研修
● ねらい
教師が生徒を肯定的に評価し,愛情と承認の欲 求に応える適切な表現のしかたを身につける。
● 方法等
教頭の指導によるロール・プレイングの実習。
● 成果の一例
・これまで時にあったパターン
教師 「毎日,不真面目な態度をしているが,自分のことについて少し考えてみるか」
生徒 「ああそうですか。そんなら先生の態度は何ですか」(ここで交流が途絶) ・肯定的な働きかけのパターン
教師 「(奇声に対して)明るく元気でいいねェ。でも時と場合によっては,ちょっと気になる人もいるだろうね」
生徒 「カッとすると我慢できない性質(タチ)だから」
教師 「普段の貴方からはとても想像できないけどね。今日は何かよいことがあったんだろう」
生徒 「先生,私のとこいつも見てるんですか」(交流が続く) (4)学級担任による指導援助
@ A子に対して
● 学級担任に給食の盆を運んで来たとき
学級 担任(以下,「担」と表記)「ありがとう。心のこもっているわけ方だったね」
A子 (以下,「A」と表記)「う−」
担 「顔が輝いているよ」 ● 遅刻
担 「朝の食事のしたくや後始末大変なんだろう」
A 「エー,でも慣れてっから…」とすう−と通り過ぎていく。 ● 遅刻を3日続けた
A 「(下を向きながら)熱があり,家を出るのが遅れました」(丁寧な言葉づかい)
担 「それは大変だ。保健室へ行ってみよう。そん