研究紀要第67号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第2年次」 -038/066page

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事 例 6 (高等学校 1)

喫煙と盗みをする二人の女子高校生の事例

 また規範逸脱性が高く,行動的には規範破りが多いことが予測される。

1.主訴    喫煙と盗み

2.対象    高等学校3年,女子,A子,B子

3.問題の概要

 高3女子のA子を中心とする5名のグループは2年の修学旅行に一寸したきっかけで覚えた喫煙の味が忘れられなくなり,担任,生徒指導担当教師の数回にわたる注意にもかかわらずやめられない状態になった。

 特に本年2月には,A子の所属する部室で喫煙中のところを,たまたま通りかかった学年主任に発見され,3日間の謹慎処分を受けた。

 しかし,その後も喫煙が続き,制服のまま通学途上のバス停附近で自販機からたばこを購入しようとしたところを通行人に学校へ通報されることもあったが,本人にきいても否定するばかりで,特定できないままになることも数回あった。

 3年になって,帰宅途上のスナックでA子のグループの3名A子,B子,C子がコーヒーを飲みながら喫煙中のところを警察の婦人少年補導員に補導され指導を受ける。

 その後は,喫煙で注意されることはなくなったが,何となく面白いことがないという様子で無断遅刻,早退をするなど怠学傾向を示すようになった。3年生ということで,進路指導が具体的にすすめられるようになって,5名のグループのうちA子とB子を除いては,進学,就職の目標が決定し6月ごろからはグループ行動が見られなくなった。

 そのため,A子,B子はますます面白くない気分をつのらせ,校内を面白いことを物色して歩くようになった。

 6月20日 購買部でクラス別に注文に応じ分けて置いた昼食用のパンをA子が2個盗り,逃げるところを購買部の職員に見とがめられたが,たまたまそこにあった掲示板の裏にかくし知らぬふりをしてしまった。

 その後30分程してからA子にたのまれたB子がそのパンを取りに来たところを教頭に発見され,このことが判明,A子,B子に対する具体的継続的指導が学級担任と教育相談係によって開始された。

4.資料の収集と解釈

(1)A子について

 同胞4人第2子長女として出生,母系家族であったために兄がいるにもかかわらず,当然のように家の「あととり」として期待されて育った。

[1] 本人

 ● 身体的発育については,何ら問題はなく,現在身長165cm,体重55kgと恵まれた体格をしている。

 ● 心理的には,わがままで自己顕示性の強い性格で,お金が自由になることから金銭感覚に乏しく,浪費癖がある。知能は高く成績は中位(中学では上位)である。このような事情からグループのリーダーとしてリーダーシップを発揮する。
  また多少「あねご」的なところがあり,きっぶがいいので他の生徒からも人気がある。

 ● 心理テストは,YG性格検査と問題性予測検査(DAT)を実施し,背景について客観的理解ができるように考えた。

―YG性格検査―

 D’型で,特に自分から積極的に行動する傾向が強く,時に衝動的行動をとることがある。

 さらに,目立ちたがりやで,それが仲間の中で発


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