研究紀要第67号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第2年次」 -039/066page
揮される傾向が強く,自信家である。
家庭,学校,自己,対人関係などの適応傾向は よいが,性格傾向では,意志が弱く自己顕示的で あきっぽく軽率である点が目立つ。
また規範逸脱性が高く,行動的には規範破りが多いことが予測される。
[2] 家族構成と家族関係
● 家族構成から見ると代々女性が家を相続している傾向があり,A子は兄がいるにもかかわら ず当然のことのように相続人ともくされ,特別な位置が与えられていたようで,A子自身も能 力に恵まれ,それにこたえて育ったようである。
祖父,父,兄は,それぞれみかけ上は,会長,社長,長男であるが,家庭内の地位は低いようである。
祖母,母,A子は,会社役員二人と長女ではあるが,実際上は,この家系をつぐ直系とみられて おり,特にA子は兄妹の中で,身体的にも知的にも恵まれており,そのようなことからも期待が集 まりやすい状況にある。それはA子の描いた次の家族のシステム・力動にもみとめられる。
● 家族関係のシステム・力動
A子は,祖母,母から強く支持されており,クィーン的地位が与えられていることがわかる。
(2)B子について
同胞3人第2子二女として出生,父母は共働きであり,姉とは年齢の差も大きく(7年)一人っ子的であり,特に姉が問題行動を起こすようになってからは,父母はB子に大きな期待をよせるようになった。
[1] 本人
● 身体的発育については,特に問題はなく,現在身長153cm,体重54kgとやや小太りな感じである。
● 心理的には,わがままな性格で,依存性が強くややさびしがりやなところがある。また少し太り気味なところを気にし,そのためか気分にむらがある。
● 心理テストは,YG性格検査と問題性予測検査(DAT)を実施した。
―YG性格検査―
D型であり,情緒安定,社会適応,積極型であるが,D型にしては気分変化が大きすぎることと