研究紀要第67号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第2年次」 -040/066page
活動性が低すぎる点が気になる。
そのため自分からすすんでというよりは,だれかに引っぱられて行動することが多いと思われる。
規範逸脱性がやや高いことを除き特に問題はない。
[2] 家族構成と家族関係
● 家族は,父,母,姉,妹の五人である。
父は,会社重役で仕事がいそがしく,出勤,帰宅時間は不規則で,姉妹が幼少期から,父として接することは少なく,そのために姉妹の規範性の発達に悪影響をおよぼしていると考えられる。
母も公務員で,仕事熱心で,勤務先までの距離も遠く,そのため時に帰宅時間の遅くなることもあり,姉妹で夕食をすませていることもあった。
姉は,高校時代,父母に反発し一時不良交友等で問題を起こした時期があり,それを心配した両親は,進学,就職に反対,そのため家事手伝いをしている。
このような事情から,家族のまとまりが悪く, それは,次の家族システム・力動(B子の描いた もの)にも明らかに見られる。
● 家族関係のシステム・力動
親子関係が脆弱で,姉妹が強く結びっいているいわゆる世代分離型の家族である。
5.診断と指導仮説
(1)診断
資料を総合的にみると,ひずんだ家族関係の中で期待されてかなりのわがままを許容されて育ったA子と世代分離した家族関係の中で父母の愛情にあまり恵まれないで育ったB子が,身体的に恵まれたA子をり一ダーにB子以下4名が集って作った「遊び型の集団」であると考えられる。
A子とB子の関係では,何事にも自信のあるA子が,ボディイメージなどから見てもやや自信のない,依存心の強いB子を姉のような態度でリードしての問題行動と考えられる。
また,A子,B子を除く3名は,すでにこのグループからはなれる方向にあり,二人の心情を考え無理に引きはなしたりせず,二人合同面接を中