研究紀要第67号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第2年次」 -041/066page

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 心に指導し,それぞれの自我の成長を待つのがよいと考えられる。

(2)指導仮説

  1. 合同面接を通じて,相互に家族とのかかわりや成長の過程でのエピソードなどを話し合わせる。
  2. 家族問題については,論理療法的に問題を焦点化し,そのことについて意見を交換させる。
  3. 規範性を育てるために,具体的な出来事などを取り上げて話し合わせる。また人生について語り合う機会をつくる。
  4. 具体的に進路について動機づけられるよう援助する。
  5. 発達的に見て,本人たちへの援助に重点をおき,特に家族へのかかわりは考えない。
  6. 話し合いでは,相談担当者(教育相談係)も積極的に意見を述べる。
  7. 行動の変容については,学級担任,教科担任,生徒指導係で話し合い,良い方向への変化につ いては,ほめるなどして強化する。

6.指導援助の経過

 指導援助の経過については,指導の進展から前期,中期,後期の3期に分けられると考えるの で,指導仮説と対応させながら順に述べる。

(1)前期

 相談担当者とのリレーションをつくることに主眼をおきながら,家族との関係を明確にすることを目的とした。

 したがって担当者は,受容,支持,共感の態度で接するよう注意した。

 そこで,担当者から,社会体制を維持するために存在する規則,法律‥…規範の存在について話 す。

指導仮説 [1]

面接 3回 (6〜7月)

● 面接 1

  相談が,自主来談ではないので,相談担当者への警戒をとくため,雑談的な趣味の話題から入り  相談についての基本的な姿勢,秘密保持などについて細かに話し,次回来談のコントラクトをとる。

● 面接2

 初めから打ちとけたかたちで話をはじめる。A子が話すことが多く,家族関係(主として祖母,母と本人の関係)について話す。

 担当者に促されてB子も姉との関係を中心に話す。

 どちらも父についての印象が薄く驚く。担当者は受容しながらきき役をつとめる。

● 面接3

 A子は,兄がいるのに自分が家をつぐように期待されていたことについて,わがままが通るのは いいが,困った問題だと話す。

 互に父との思い出がほとんどなく,特にB子は母との思い出もない状況から,親子って何だろう という基本的な問題に話題が向かう。

(2)中期

 家族問題を具体的に取り上げて話し合い,その中で自分の役割は何かを明らかにしていく。ひい ては,そのことが自分たちの行動の背景にあることに気づかせる。

指導仮説 [2] [3] [6] [7]

面接 5回(7〜9月)

● 面接4

 A子が,わたしの家は女性が代々相続していることから,兄がいるのに,みんながそう信じてい る。これはどうしてなのか。このことが家族には明確に意識されていなくて,単なる迷信みたいになっている。

 あるいは,そのために兄は,何事にも消極的に なったのかもしれないという。

 (家族神話的な話題がでる)

 B子は,姉が高校時代に問題を起こしたのも,あるいは,両親に対する反抗の気持ちか,もっと 両親の目を自分に向けさせるためにしたものだったのかもしれないという。どこの家にも,はっき り意識されていない色々な問題があることが相互にわかったという。


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