研究紀要第67号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第2年次」 -042/066page
● 面接5
家族との人間関係のことで問題と思われること を紙に書きだしてみることにする。
A子,B子とも10項目ほどになり,しかも共通 しているものが多いのに驚く。
そのことをもとに,家族内での自分たちの立場, 意識せずに果たしてきた役割などについて話し合 う。家族のだれもがある役割をになって生きてい ることに気づき,驚く。
● 面接6
社会のできごとについていろいろと意見をきか せてほしいと提案する。
いろいろなできごとについて話すうちに,みん な自分勝手に好きなことをやっていて,他人のこ とを考えていないようだといいだす。
家族の中にあった迷信みたいなものが,社会に もあって,みんなそれに動かされているように思 えるという。
そこで,担当者から,社会体制を維持するため に存在する規則,法律‥…規範の存在について話 す。
● 面接7
B子が突然,A子はたよりになる姉のような気 がするといいだす。
二人の交友関係の背景にある心理とグループ内 での役割に気づく。
● 面接8
A子が家族,特に母と家族内の関係について話 す。
母は,このどろ兄の苦しみをわかってきたよう だという。
「負うた子に教えられるってこのことだね」と いっていたという。でも祖母はわからないだろう といったことを話す。
B子も,姉といろいろ話しているうちに,父や 母の気持ちが少しわかってきたような気がすると いう。
二人で家族内の人間関係などについて話し合い, 自分たちの見方が変わっていることに気づく。
今まで,あまり意識されなかったことがかなり 明確になり,よい変化のきざしととれる。
(3)後期
進路について,具体的に動機づけをはかり,そ れぞれ別の道を歩ませることにより,二人の交友 関係が改善され,新しい交友関係ができるように 配慮する。
学級担任からの報告では,中期の終わりごろ (面接7・8)から,二人の関係に微妙な変化が 起こり,常に二人で行動していたのが,休み時間 などには,別のクラスメートと話をしている様 子が見られるようになっている。
指導仮説 [4] [6] [7]
面接 3回 (合同で1回,両名の提案で個別 に1回づつ)10月
● 面接9
A子とB子と一緒に来室したが,席のとり方が 変わった。
前回までは,二人が比較的近く座り,それと対 面する型で担当者が座っていたのが,今回は,正 三角形に近い型になった。
今日から二人の進路について話をしようと提案 すると二人とも了解。
A子は,やはり家業は兄が継ぐのがいいと思う し,母もそのことに賛成してくれているので,進 学して,何か将来独立できるようにしたいという。
一方B子は,あまり学問に興味がわかないので 専門学校に進んで,手に職をつけたいという。
A子の提案で,次回は個別に話し合いをする ことにし,B子も進む方向が違うのでそれでよい と承諾する。
● 面接10 B子との面接
父母に相談したが,将来のことはB子にまかせ るといわれた。
専門学校にすすみたいというと,父はすぐ賛成, 母は教師になってほしいと思ってきたが,B子 がどうしてもというならいいということであった。
専門学校といっても種々あるので,具体的なこ とは学級担任を通じて,進路指導の先生と相談す るようにすすめる。