研究紀要第67号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第2年次」 -043/066page

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 担当としては,単なる好みで学校を選ぶのでは なく,適性や将来性を十分考慮するよう希望し, 今回で面接を終了することを告げ,B子も了解し たので,前記のことは学級担任に話しておくとい うことで終結する。

● 面接11 A子との面接

 進学のことでは,特に問題はないが,相続を兄にゆだねることは,母はわかってくれたが,兄自 身の意志,祖父母の気持ちなど,まだ不安がある

 今日帰ったら,父とは直接話してみるという。

 そのことでまた困ったら,相談に来てほしいが進路のことは,学級担任と進路指導の先生に相談 してほしいと希望する。A子も了解するというこ とで,面接は一応今回で終わることにする。

 なお,参考にしたいのでということでDATを行った。

―問題性予測検査 (DAT)―
問題性予測検査

 すべての因子が正常圏になり,問題が改善されていることがわかる。

 さらに規範性についての成長がみられるよう当分援助していく必要がある。

 このことについて機会があれば,父親に話してくれるよう学級担任に依頼する。

7.考察

 相談を一応終了したので簡単に考察を加えることにする。

 特に比較的短時日に一応の成果をみて終結することができたのは,

  1. 3年生であったため,相談関係に入る前からグループの力動に変化が起きていた。
  2. A子,B子共に,能力が高く,スムーズに自己洞察がすすめられた。
  3. 担当者との安定したリレーションをつくり,それを維持できた。
  4. A子,B子が進路についてうまく動機づけられていった。
  5. 問題行動についての話題は一度も出なかったが,むしろその背景にある心情についてかかわるよう配慮したことがよかった。

 以上のことを上げることができると思うが,ま だまだ心配がないわけではなく,特にA子は家族 問題に不安を残しており,その解決が今後の課題である。

 また,二人が進路のことでつまずいたりした時の不安をどう乗り切るかなど心配な点ではある。

 なお,家族との面接は一度も行わなかったが,それでよかったのかどうか,今後の問題ではある。

 しかし,高校3年という発達段階,二人の能力の高さなどからみて,本人たちを通じて家族問題 にかかわるという方法が,少なくても現時点では間違っていなかったと信じている。


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