研究紀要第68号 「学校経営改善に関する研究 第2・3年次」 -003/075page

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II 研  究  の  構  想

 

 1 教育目標具現化の課題

教育目標は,学校における全教育活動を通して達成すべき教育の「指標」であり,学校経営のかなめである。各学校においては,教育目標に対するこの考え方がすでに一般化され,教育目標達成に向けての教師の意識も向上し,具体的な教育計画の改善や実施も,その線にそって意欲的に進められるようになってきている。

しかし,このような教育目標の重要性に対する認識や,目標達成のための研究への取り組みにもかかわらず,教育目標が真に学校の全教育活動の中に関連づけられて,教師一人一人の教育実践が行われているかどうかという点では,調査の結果(研究紀要第59号,昭和60年3月)からも,多くの課題が指摘されたが,集約するとおよそ次の4点にまとめられるようである。

 (1) 教育目標に対する学校の主体性に関して

教育目標を学校の全教育活動の中で達成するためには,全教師が経営参加の意識を強く持ち,教育目標設定のために,積極的に共同思考しながら教育目標そのものや,その設定過程での諸実態調査等に対する共通理解を図り,教育目標を学校(教師)の主体性に立つ目標として設定することが必要である。

 (2) 教育目標の地域性に関して

教育目標を,わが校の教育目標として独自性のある生き生きとしたものにするためには、現実の児童生徒の姿と,その児童生徒をとり巻く学校や家庭,地域社会の環境のもたらす教育条件を統合的にとらえ,そこから,現在のわが校の課題と,児童生徒の未来性を織り込んでいく必要がある。

 (3) 教育目標の構造性に関して

教育目標が教育活動の指標として真に生きてはたらくには,教育目標の適切な具現化が図られることが肝要である。

すなわち,教育目標が年度に即して重点化されると共に,それが学年目標や学級目標に具体化され,また各教科,道徳,特別活動のそれぞれの領域において具体化され,最終的には各学級等で行われる授業を中心とした諸活動に生かされていなければならない。

つまり,教育目標が,児童生徒の活動へ向けて構造的に明らかにされている必要がある。

 (4) 教育目標の循環性に関して

教育目標が学校経営のサイクルの中で円滑に機能するためには,教育目標の設定から達成までの過程が,計画(P)―実施(D)―評価(S)―更新計画(P′)の循環過程をふまえて設定されていなければならない。

教育目標の具現の実態を適切に把握し,評価をとおしてよりよい実践を行うためには,教育目標の循環過程を吟味し検討していく必要がある。

 2 研究の視点

前に述べた四つの課題の解決を図ることは,3年間にわたる本研究をまとめるにあたっても,研究の中心的な意味を持つものである。

したがって,研究の方向性を明確にして課題解決にあたるため,次のような研究の視点を設定した。

 (1) 教育目標の設定と地域性

教育目標は,一般的な教育の目的,目標を基本におさえると共に,教育の今日的課題,社会の要請をふまえ,それに学校の実態,児童生徒の実態


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