研究紀要第68号 「学校経営改善に関する研究 第2・3年次」 -005/075page
の中に教育目標が関連づけられていないということは,極めて問題であろう。
調査の中で,“考えていない”という教師の,その理由の中に,“関連づけは必要と思えるが,その手順・方法がわからない。”と述べている教師が大部分であるが,このあたりにも,教育目標関連づけの不十分さの理由があるようにも思われ,教育課程編成の際の教育目標具体化の過程を明らかにすることの必要性を感ずるのである。
(4) 教育目標の指導計画や授業への具体化
教育課程の編成において,教育目標との関連を図るならば,その考え方が,指導計画作成にあたってはもち論,授業の中にも教育目標が計画的に具体化されなければ,教育目標の具現化は図れないことになろう。
このことに関する調査の主なものをあげると,「指導計画と教育目標との関連づけに対する配慮」の設問に対して,“特に配慮していない”という回答が,小・中平均14.5%(N=454)もあり,“特に配慮はしないが,教育目標とのかかわりに留意して指導している。”という回答が小・中平均65%もある。
また,「各教科の授業と,指導内容の教育目標との関連づけ」の設問に対して,“考えていない”という回答が小・中平均13.5%(N=452),“少しは考えている”という回答が小・中平均60%となっている。この結果の中の,“教育目標とのかかわりに留意して………”とか,“少しは考えて……”というのは,計画的関連づけという点からは,かなり低い次元で考えているといえよう。
指導計画作成にあたっても,また授業の場合にも,教科の目標のみが重視され,教育目標はほとんど忘れ去られているのが現状であるといっても過言ではあるまい。
教科・道徳・特別活動の授業が,児童生徒の一日の時程の大部分を占めていることを考えれば,授業にこそ,教育目標との関連を具体的に位置づけた指導が望まれるし,教育目標を学習指導案にどう組織して指導すればよいのか,その方法を明らかにすることが必要であろう。
3. 研究の計画
第1年次(昭和59年度) 第2年次(昭和60年度) 第3年次(昭和61年度)
1. 研究の全体構想設定 2. 研究の基盤となる理論研究 3. アンケートによる実態調査 (1) 教育目標の設定過程 (2) 教育目標の実践過程 (3) 教育目標の評価過程 4. 研究協力校からの資料収集 教育目標の具体化に関する実践資料・事例14例(小学校) 5. 研究紀要第59号発行
1. 教育目標に関する理論の再検討 (1) 教育目標の意義・性格 (2) 教育目標と学校経営 (3) 教育目標の具現化と具体化 2. 研究協力校からの教育目標具体化の事例収集整理 (1) 小学校の事例の整理検討原稿執筆 (2) 中学校の事例収集
1. 研究紀要の構想設定と理論編の原稿執筆 2. 研究協力校からの教育目標具体化の事例収集整理 (1) 中学校の事例の整理検討・原稿執筆 (2) 研究協力校との連絡調整・研究内容の深化 3. 研究紀要発行