研究紀要第68号 「学校経営改善に関する研究 第2・3年次」 -027/075page
7. 教育課程の編成における教育目標と学級指導の目標との関連づけについて (1) 問題点
「教育課程の編成にあたって,特別活動の目標に学校の教育目標を関連づけているか」という設問に対して,何らかの「関連づけを考えている」と回答しているのが約99%(N=314)をしめている。
このことから,学級指導の目標についても,教育目標との関連づけの必要性について認めていると思われる。しかし「特別活動の指導でその内容に学校の教育目標を関連づけて考えているか」という設問に対して,「学級指導だけで考えている」9%(N=310)に「特別活動の全部または学級指導とそれ以外の活動と共に考えている」というのを合わせると約77%となる(N=310)
これを先の99%と比較すると,教育目標との関連づけを図ろうとする気持ちが,学級指導の実際場面では22%ほど率が下るが,これは関連づけの具体的方法に必ずしも自信が持てない教師もいるためではないかと思われる。
(2) 基本的な考え方
学級指導は,学級における好ましい人間関係を基盤として,児童・生徒が日常生活を営む上に必要なさまざまな行動のしかたや自己実現の方策を主として,学級担任教師が意図的,計画的に指導していくものであり,教育目標具現の直接的な効果が期待されるものであると考える。
したがって,その効果を一層高めるために,教育目標と学級指導目標との関連を吟味し,教育課程の編成に生かしていく必要があり,次のことを基本的に考え進めていきたい。
1) 教育目標から年度の重点目標を設定し,更にこれを行動目標として設定する。 2) 学級指導の内容と教育目標との関係を明らかにする。 3) 学級指導の学年の目標に教育目標を位置づけて関連を明らかにする。 4) 学年ごとの月別主題配当表の編成に当たり,主題ごとに関連する教育目標を位置づける。
(3) 教育課程の編成にあたり,学級指導の目標に教育目標を関連づけた例 1) 教育目標の学級指導目標への具体化
教育目標 学ぶ子ども
働く子ども
協力する子ども
鍛える子ども
重点目標 日常生活に必要な基本的行動様式を学ばせる 責任をもって最後までやり通す 望ましい人間関係の基盤をつくる 心身の健康増進をはかる 努力事項 学校や学級のきまりを学ばせる 進んで係活動などを行うようにさせる 信頼感,協力する心を育てる 健康について考え,処理できる態度を育てる 具体的な指導場面 給食指導図書館指導 清掃指導 集団行動の指導給食指導 保健・安全指導 学
級
指
導
目
標低
学
年約束を守ることができる。
自分の考えを話すことができる。
人の話を聞くことができる。 自分のことは目分でできる。
みんなのためになる仕事をみつけてすることができる。 約束を守ることができる。
仲良く遊ぶことができる。
元気に遊ぶことができる。
約束を守って運動することができる。
中 自分の考えをはっきり話すことができる。 自分のめあてをやりぬくことができる。 友だちと力を合わせ学習したり,遊んだ 進んで運動することができる。