研究紀要第68号 「学校経営改善に関する研究 第2・3年次」 -030/075page
8. 教育目標と校内研修活動との関連づけについて
(1) 問題点
「校内の授業研究の際,教科の目標以外に,学校の教育目標にかかわる視点での話し合いがなされているか」という設問に対して「話し合っていない」という回答が25%(N=314)を占めていることから,学校の研修活動の中心となる授業研究が,教育目標とは無関係に進められている学校が,かなり多いことがわかる。また,その“話し合っていない”理由として,「意図的に話し合わなくとも,結果としては教育目標にかかわってくる」という考え方が大勢78%(N=67)を占め「教育目標のことまで話し合っていると,教科のねらいが混乱する」8%(N=67)という考え方もあるなど,教育目標を軽視している傾向が強く出ていることがわかる。
授業研究は,児童生徒のために行うよい授業を追求する活動であるから,授業研究のねらいの中には,当然学校の教育目標具現化の施策が盛り込まれるべきなのに,教科の目標とか,いわゆる授業研究のねらいのみが優先しているのは問題であろう。
(2) 具体的考え方
校内研修は,個々の教師の持つ問題を解決するために行う個人研修の場合と,共同研修の形で,校内の統一研究主題の解決に向けて,教職員の総意を結集して行われる場合とがあるが,いずれの場合でも研究の成果は,直接的,間接的に,児童生徒の教育の上に還元されるものであるから,結局は,学校の教育目標の達成をめざすという点で共通していると思われる。
ところで調査の結果からは,校内研修と教育目標とのかかわりについての教師の意識の低さがめだつのが現状であるから,教師の意識を高めるうえでも,また教育目標達成へ向けて,児童生徒のうえに教育的効果をもたらす研修とするためにも次のようなことを基本的に考えて実施することが肝要であろう。
1) 校内研修の主題を設定する場合は,主題と教育目標とのかかわりを十分に加味する。 2) 研修内容と教育目標にかかわる年度の重点実践事項との関連を図る。 3) 研究実践に当たっては,実践過程の中で,計画的に年度の教育目標の実践事項との関連を図る。 4) 実践過程での評価,及び実践後の児童生徒の変容を評価し,その結果を,次の実践計画に生かす。 (3) 校内研修活動の内容に学校の教育目標を関連づけた例 1) 学校の教育目標と,年度の重点実践事項との関連
教育目標
児 童 像
昨年度の反省評価
本年度の実践事項
進んで学習し,よく考える子ども 意欲的に学習する
創意工夫しながら正しく判断する。
基礎的基本的事項や学習のしかたを身につける。 学習への集中カや持続性に欠ける。
創意工夫が不足している。
既知事項を生かした思考力が不十分
学習のしかたが不徹底
a 目標を持って学習にとり組む自覚を促す。 b 創意工夫の機会を意図する c 基礎基本の再吟味と思考力のの育成に努力する。 d 学習のしかたの学習訓練 思いやりをもって協カできる子 正しく判断し自主的に行動する
互に励まし,助け 他人の迷惑を考えない行動が多い。
奉仕活動など,自ら進んで
e 児童の自主的自覚的行動のための指導法に工夫する。