研究紀要第68号 「学校経営改善に関する研究 第2・3年次」 -032/075page
9. 教育目標と各教科の指導計画との関連づけについて
(1) 問題点
「各教科の指導計画に,教育目標との関連を図っているか」という設問に対して,その回答を分析すると,次のような問題点が明らかになった。
指導計画を作成する場合,特に教育目標達成にかかわる内容を,全教科において配慮しながら指導するというよりは,むしろ特定の教科を通してするという考え方が強い。 教育目標の具現化にあたって,教科指導よりも,道徳,特別活動などの方が,教育目標とのかかわりが大きいと考える傾向が強い。 「特に配慮しないが,教育目標とのかかわりについて留意している」と答えている教師が多いが,このことは,「意図的に計画をつくらなくとも,結果として,教育目標にかかわる指導をしている」とする考えに通じており,教育目標を意識しなくとも,教科の指導内容を伝授さえすれば,教育目標は達成できると考えたり,また,意図的・計画的でなくとも,日常の指導がなされていれば教育目標は達成できるといった考え方の傾向がある。「教育目標は,学校の全教育活動を通して,計画的に実践することにより達成できる」という考え方と比べると問題は多いと考えられる。 (2) 基本的な考え方
一般に指導計画は,学習指導要領の内容を分析して,単元,題材に即して,児童生徒の「わかる」過程を十分に考慮しながら,学習の順序性とか学習時間をきめ,年間に適切に組織したものであるが,教育目標を学校の教育活動全体の中で達成しようとする場合,指導計画作成にあたっては,教科の目標に教育目標を関連づけることの必要が当然おこってくるわけである。それが,各教科の授業時間が,児童生徒の学校生活の中で最も多くの時間を費やしていることを考えればなおさらのことであろう。そこで教育目標を各教科の指導計画に具体化する手順を次のように考えてみた。
1) 教育目標を学年目標から学級の実践事項まで具体化する。 2) 各教科の単元,題材の内容に即して,実践事項を関連づける。 3) 各教科の指導計画に実践事項を関連づける。 (3) 算数科の指導計画に,教育目標を関連づけた例
1)教育目標の学級実践事項への具体化 (例; 中学年)