研究紀要第68号 「学校経営改善に関する研究 第2・3年次」 -047/075page

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14. 教育目標の達成度評価について

 (1) 問題点

 「教育目標が,どの程度達成されたかということについて,具体的な評価をしてきましたか」の設問に対して,90%(N=312)の教師が,「学校で定められた方法で評価してきた」と回答していることから,各学校とも何らかの形で評価が試みられているといえる。

 しかし,その主なる方法にっいては,「定められた評価資料で学期末に全員で話し合う」が,約66%(N=235)と最も多く,教育目標達成を評価するための具体的な基準をあらかじめ設定しておき,それらの一つ一つについて評価を行うとか随時検討するとかは,ほとんどなされていないようである。

 すなわち,学期末や学年末などに,学校経営の全般にわたって反省をしていることだけで,教育目標の達成評価をしていると安易にとらえていることが多いと見受けられる。

 しかも,一般的な方法として行われているのは教師だけが評価者であり,3または5段階の抽象的な評定を実施しているにすぎない。

 教育目標は,児童生徒一人一人に具体的に表現される言動を見て,その達成度が評価されるものであるから,従来一般に行われているように,評価者が教師のみであるということには問題があろう。

 さらに,評価結果が,次年度の計画立案などに確実に反映されることが必要であり,そのためにも評価のための具体的な手だてを樹立しなければならないわけで,教育目標達成の評価についてはまだ多くの問題があるといえよう。

 (2) 基本的な考え方

 教育目標の達成度を評価することは,教育目標の具現にかかわる重要な一過程である。評価するにあたっては,まず,到達度を表すための基準を設定するため,教育目標の具体化から始めなければならない。

 なぜなら,教育目標の多くは,抽象的,かつ,一般的な表現であり,教育目標を教育活動の中に生かす場合ばく然としていて,そのまま実践にうつしにくい面があるからである。

 また,達成度を評価する場合に教師だけの一方的な評価に傾斜しないよう,できれば児童生徒や保護者の評価もあわせて行い,評価の客観化に努めるとともに,次年度の計画立案に生かすよう配慮していかなければならない。

 手順としては,次のようなことが考えられるであろう。

1)  教育目標が目指す方向をわかりやすく具体化を図る。
2)  当該年度の学校としての強調点(努力点)=重点目標(努力目標)を設定する。
3)  教育課程編成の段階で,重点目標を,より具体化する過程においても,全教師の目標についての意識化を図る。
4)  学年・学級経営にあたっては,学校→学年→学級→児童生徒という目標の系列化をふまえ,児童生徒へ定着させる視点で具体化を図る。
5)  学校行事などとの一貫性,児童生徒の個人目標に向けての具体化に留意する。
6)  児童生徒の成長を記録し,成果について発表の場を設け,常に,認め,励まし,ほめるようにしていくことなどをあらかじめ設定しておく。
7)  授業を通して児童生徒一人一人に迫るよう,授業の改善充実に努める方途を盛り込む。
8)  教育目標ならびに,各学年の到達のめあてなどを,児童生徒・保護者にも周知させておき,評価にもあたらせる。
9)  評価の場と機会を設定し,累積を図る。
10)  評価結果をプロフィール化し,問題点を浮きぼりにし,反省,検討を加え次年度の計画立案に反映させていく。

 (3) 教育目標の達成度を評価した例

 教師だけが,授業などを通して評価をするだけ


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