研究紀要第68号 「学校経営改善に関する研究 第2・3年次」 -059/075page
4. 教育目標と特別活動の関連づけについて
(1) 問題点
「特別活動の指導で,その内容に学校の教育目標を関連づけて考えていますか」という設問に対して「特別活動の全内容で考える」と回答した教師は約46%(N=140)で最も多く,残りの約50%の教師は「学級指導,生徒活動,学校行事及び各々二つの内容で考える」と回答している。これを「各教科の授業と教育目標との関連づけて考えている」22%(N=139)と比較すると,かなり高い率を示している。このことは,特別活動のねらいそのものが各教科の授業のねらいよりも,教育目標との関連が密接であると考えている教師が多いことを示している。また,特別活動は,実際の活動の場合に教育目標と関連づけて指導しやすいと考えている教師が多いためではないかと思われる。しかし,約50%程度の教師が教育目標との関連を特別活動の全内容では考えていないというのは問題であろう。さらに,わずか2%ではあるが「全く考えていない」という回答があり,その理由として「特別活動の内容には教育目標の内容が含まれているから」としている。これは,教育目標を無視して特別活動を行っても教育目標は達成されるという考え方と同じことであり,極めて問題であろう。
(2) 基本的な考え方
特別活動は望ましい集団活動を通して個性を伸長すると共に,自主的実践的な態度を身につけながら調和のとれた人格を形成するうえで重要な意味をもつ教育活動である。そして,特別活動の内容には,教育目標を達成するための活動要素が直接的に多く含まれていると考えられるので,指導計画を作成し実践するに当たっては,教育目標との関連を綿密に考えて計画し実践にうつすことが肝要であろう。従って,特別活動に教育目標を具体化する場合には,次のようなことが考えられるであろう。
1) 教育目標を年度の重点目標から努力事項,実践事項へ順次具体化する。 2) 実践事項まで具体化された教育目標を特別活動の重点目標へ具体化する。 3) 特別活動の重点目標まで具体化された教育目標を学級指導の四つの内容に具体化する。 4) 教育目標との関連を指導過程に位置づける。
(3) 学級指導に教育目標を関連づけた例 調査の結果,学級指導の中で,教育目標の具現化を図ろうとしている教師が大多数なので,これをその例としてとりあげた。