研究紀要第68号 「学校経営改善に関する研究 第2・3年次」 -068/075page

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7. 教育目標の達成度評価について

 (1) 問題点

 教育目標の評価の実施は,調査によるとほとんどの学校で実施されているが,未実施校がまだ約6%(N=139)ある。

 評価の方法では,定められた資料,方法で実施され,検討もされているが,提出したままで検討がなされない学校もある。

 評価の時期は,学期末に実施されている学校が約87%(N=139)であるが,月末,週ごとに実施している学校も約2%ある。月末,週,毎日の評価実施校が少ないということは,授業などの諸教育活動にまで目標の具体化が図られていないといえるのではないだろうか。

 評価者は,教師全員というのが77%(N=139)と多いが,教師と生徒,教師と保護者,教師と生徒と保護者というような多者評価実施校は少ない。

 評価結果の生かし方については,工夫改善はされているが,時期的な問題とも合わせてS→P′への過程がおろそかにされているのではないかと思われる。

 (2) 基本的な考え方

 教育目標の達成度評価は,教育目標の具現化を目指す重点目標が,「年間指導計画」や「学級経営計画」にまで具体化されていることが前提である。それらの計画が毎日の授業にどのように結びつき,その成果がどう評価され,改善にどう生かされたかを各対象毎に評価するだけでなく,連続した教育活動として,組織とか,運営とか,モラールなどの関係が,どう生きて働いたかを相互的,関連的に評価をする学校経営的な評価として進められることが基本である。

 これらの前提に立って考えた場合,教育目標の達成度評価の手順は次のようになろう。

1)  評価の基本方針をたてる
2)  評価の目的を明らかにする 教育目標それ自体の評価も入れる
3)  評価目標を明らかにする
4)  評価対象を決める
5)  評価項目を決める 評価対象が決まったらその対象の評価項目を決める (参照:紀要第55号のp26以降)
6)  評価方法の基本構想を明らかにする
 評価の構想をつくる
 具現された生徒の姿を,積み上げ方式で評価する過程を設定する。
 具現された生徒の姿を評価する段階での評価基準を設定する。
 評価の方法については,評定法が中心であるが,数字だけに止まらず,どこがどう問題であるのかを示し,それに基づいた改善の手だてを明記する。
 評価者の組織をする
 評価の主体性と客観化を図るために,教師だけの評価だけに止めず,教師と発達段階に応じた生徒,保護者などを組織化し,評価についての共通理解を図る。
 評価の時期をきめる
 達成度については,目標達成がより具体的,日常的であるので,評価の時期についても評価の対象と評価者に合った時期(期月,週,日)を設定し,形成的に評価していく。
 多者評価をする
 教育目標は,それ自体が地域性を反映しているものであるから,評価もそれに応えるものである。特に,学校との共通理解の基に保護者の家庭での評価への参画を図るとか生徒の自己評価も組み入れる。
 評価結果の活用をする
 経営としてのP→D→S→Pのサイクルはもちろんであるが,日常の教育活動の中でこそ,児童生徒の姿の中に評価結果が反映され,生かされていくようにする。
 
(3) 教育目標の達成度を評価した例

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