研究紀要第69号 「『関心・態度』の評価に関する研究 III」 -002/058page
2 昨年度までの研究の内容
59年度は,以上の研究の趣旨を受けて,「関心・態度」の評価にかかわる理論的な研究及び小学校社会科における実践を通して,「社会事象に対する関心・態度」の評価の研究に取り組んだ。
また,60年度は,小学校音楽科と中学校外国語科(英語)の実践を通して,「音楽に対する関心・態度」及び「外国語に対する関心・態度」の評価の研究に取り組んだ。その研究内容は,それぞれ研究紀要第60号,第65号(学習指導と評価――「関心・態度」の評価に関する研究――)に詳しく記載してあるので,ここではその概要を述べる。
(1) 「関心・態度」のとらえかた
[1]研究対象としての「関心・態度」
指導要録の観点「関心・態度」の趣旨にそうよう「関心・態度」の対象は,その教科の学習内容とする。[2]「関心・態度」の階層性
「関心・態度」とは,「感じる,注意が向く」という段階から「良さがわかる,意味や意義を感じる」段階,さらに「自分なりに意義づけができる」段階,そして「日常生活の中に行動化できる」段階というように低いレベルから,高いレベルヘと階層的連続体として深化・発展するものと考えられる。[3]「関心・態度」と認知的・技能的な領域とのかかわり
学力には,認知的,技能的,情意的な三つの領域があり,「関心・態度」はこのうちの情意的領域に属するものである。また,「関心・態度」は,認知的・技能的な領域における学習の進展と相互に関連し合いながら,低いレベルから高いレベルヘと深化・発展していくものと考えられる。(2) 「関心・態度」の目標分析
教科の学力の要素としての「関心・態度」は,学習対象そのものに向けられるものである以上,学習内容ぬきに「関心・態度」の目標設定はできない。そこで,ある単元レベルにおける「関心・態度」の目標設定は,その単元の教材を分析し,基本的な学習内容を明らかにし,それぞれの学習内容に即してなされる。したがって,「関心・態度」を評価する場合は,単元レベルで設定した目標を,各単位時間のより具体的な下位目標に分析することが極めて大切である。
(3) 「関心・態度」の評価計画
[1] 評価計画に必要な内容
「関心・態度」の評価計画は,当然ながら学習指導計画に即して立案されるものである。そして,下記のような事項を十分検討し,その内容を明示することが必要である。
指導計画の内容 検討すべき事項 評価の場面 ・指導過程の最も適切な場面に設定されているか。
・その場面で評価を行うことが,授業の自然な流れを妨げないか。評価の方法 ・評価の目的に照らし,評価用具,評価基準が適切であるか。 フィードバック ・その評価の結果は,教師の指導や児童生徒の学習にどのように生かされるか。 [2] 評価の留意点
一般に,認知的,技能的学力の評価は,児童生徒の能力の上限をとらえて行われるのであるから,一定の学習の終了後にも実施できる。これに対して,「関心・態度」の評価の場合は,行動や思考の傾向性,あるいは学習の様子そのものをとらえるのであるから,現に学習している場面や少なくとも学習してからあまり間をおかないで実施されなければな