研究紀要第69号 「『関心・態度』の評価に関する研究 III」 -003/058page

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らない。このように,認知的・技能的学力の評価と情意的領域に属する「関心・態度」の評価では,大きく異なる。したがって,評価計画の立案にあたっては,以上のような特色を十分に考慮して行った。

(4) 「関心・態度」の評価

[1] 評価方法及び用具

「関心・態度」の評価は,最も日常的な典型的な行動を通して,情意の傾向性を評価することになるので,その評価は,教師による観察が中心になると考えられる。しかし,教師の観察には限界があるので,児童生徒自身の自己評価,児童生徒間の相互評価等によって,評価の資料を提供してもらうことになる。本研究においては,観察法を中心としながらも,下記のような評価方法及び用具を取り入れて行った。


観察法 自己評価法 相互評価法
評価用具 評定尺度法
チェックリスト
行動描写法
質問紙法
・自由記述式(作文,トラストなど)
・制限応答法(多肢選択法,評定法など)
ゲス・フー・テスト

これらの評価用具の特性については,研究紀要第60号に詳しく解説してあるので参照していただきたい。いずれにしても,それぞれの評価用具には,一長一短があるので,評価目標に応じて,最適なものを選ぶことが大切になろう。

[2] 評価の基準尺度

「関心・態度」の評価においては,単位時間の授業のなかで(+),(0),(−)の基準尺度を作って,一人一人の行動を観察したりチェックしたりする。そして,(−)の児童生徒は(0)へ,(0)の児童生徒は(+)へと変容して行くような補強,矯正の指導をし,児童生徒の興味や関心を喚起するようにすることが大切である。なお,この研究では,マイナス・チェックされた児童生徒を(0)に変容させる手だてを講じることに重きをおいた。

また,「関心・態度」の評価の場合は,評価目標の達成基準(+),(0),(−)に該当する児童生徒の示すであろう行動特性を基準としてあらかじめ記述しておき,それによって判断することが大切であると考えた。

さらに,評価基準の段階は,下記のようにし,それぞれの評価目標によって2段階,または3段階にした。60年度の研究では,学期,学年など長期にわたる「関心・態度」を評価する場合には,3段階が適切であるが,単位時間や数時間程度の場合は,基準を大づかみに2段階にすることが,実際的であろうという考えに立って実施した。

評価基準の段階

[3] 評価に関する条件

評価の方法,用具などには,下記の三つの条件が必要であると考え,できるだけその条件を満たすように努めた。

妥当性 意図した評価の目的どおり,評価結果がでること。例えば,児童生徒が自己の考えや感じ方が素直に反映するような評価方法は,妥当性が高い。
信頼性 評価の結果が偶然の要因に左右されず一貫して正確であること。なお信頼性は妥当性の必要条件ではあるが十分条件ではない。
実用性 あまり手をわずらわせずに実施処理できるものであること


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