研究紀要第69号 「『関心・態度』の評価に関する研究 III」 -008/058page
ければならない。この点を踏まえて,指導過程に即して,各段階で可能な限り具体的な評価基準を設け,評価の方法を工夫した。また,観察だけでは「〜しようとしている」という段階の把握にとどまるので,さらに児童の内面までを把握するために,知識・理解,技能の向上との関係において態度を把握することにした。感想文の内容,ノートのまとめ方,課題への取り組み方の他,学習カードにより自己評価をさせるなど,多角的に「関心・態度」を評価しようと試みた。
なお,「関心・態度」の高まりは,以前の段階と比較して評価されるものであるから,学習前・学習中・学習後とそれぞれの段階での評価を行った。
評価の場としては,「単位時間」(授業中),「単元学習中」,「学期末・学年末」が考えられるが,ここでは,単位時間,及び単元学習中に位置づけた評価を試みた。
4 「関心・態度」の目標分析
(1) 「国語に対する関心・態度」の目標設定
「関心・態度」を評価しようとするときは,何をどう評価するかということが問題となる。つまり,評価目標をどう設定するかということである。
「国語に対する関心・態度」の目標分析をするときは,ブルームらのいうように,内容的要素と行動的要素からなる二次元マトリックスによる方法が便利である。ただ,このときにブルームらのいう情意領域の分析をそのままあてはめるのは無理がある。なぜなら,ブルームらの考え方は,単に「国語に対する関心・態度」を意識したものではなく,全人格的な情意を考える立場であるからである。
したがって,「国語に対する関心・態度」の目標分析をするときには,ブルームらの深化,階層の例を参考にしながらも,国語独自のものを考えなくてはならない。
以上のような考えの上に学習指導要領の記述を重ねて考えたのが<表1>のような分析である。
[1] 興味・関心
・ 興味――「気づく」などの低レベルのものを,学習活動の前提的な目標とし,「興味」の段階 とする。 ・ 関心――学習内容・活動に対して,「注意を向ける」,「注意を集中する」などの受容的な反 応を「関心」の段階とする。 [2] 意欲・態度
・ 意欲――学習活動において,「自ら進んで」,「一生懸命に」などの意欲的な活動が見られる 状況を「意欲」の段階とする。これは,受容的な反応とは明らかに区別されるものである。 ・ 態度――学習活動において,意欲的な取り組みがなされ,その状態が継続的に,一貫性をもっ てなされる状況を「態度」の段階とする。 [3] 習慣化
行動や意欲などに持続性がより強まり,目標に向かって実行の意志や行動が自然になされるように定着されたものを「習慣化」の段階とする。ここでは,「追求する」,「探究する」など,学習活動の範囲をこえて,日常生活にまで習慣化されるものである。(2) 認知的.技能的領域の目標との関連を図る
「国語に対する関心・態度」の目標は,表現,理解,言語事項といった認知的領域と関連づけて設定されなければならない。というのは,国語学習では,言語に関する技能や能力が的確に培われない限り,「関心・態度」は育たないし,言語に対する関心や態度がない限り,表現・理解の技能・能力を確かにそして豊かに伸ばすことはできないからである。
すなわち,児童が関心をもつためには,知識が理解に高められ,これをよりどころに,思考を経るなどして興味へ移行し,関心や意欲へと伸長するのである。
このように,「国語に対する関心・態度」を評価するためには<表2>のように,認知的,技能的領域の評価目標との関連づけを十分図る必要があると考える。