研究紀要第69号 「『関心・態度』の評価に関する研究 III」 -012/058page
5 「関心・態度」の評価計画
(1) 評価計画の基本的な考え方
「関心・態度」の目標が分析され,評価目標が明らかにされると,次に必要なのは,評価計画を立てることである。どのような場面で,どのような基準により,どのような方法で評価するか,評価した結果を,いつ,どこで,どのようにフィードバックさせるか等について具体的に計画することが必要になる。
評価計画を立てる場合の基本的な考え方を下記の項目に従って述べることにする。[1] 評価の場面
国語の学習では,読む,聞く,話す,作文などの言葉の学習を主体とする言語活動を重視することが大切である。したがって,児童の言語活動が音声言語や文字言語に具体的に行動として表われたとき,はじめて評価ができるものである。
このような観点から,次のような評価の場面がよいと考えられる。
・学習課題確認の場面
・学習課題に対して,発表する,作業する,調べる場面
・学習の成果をまとめる場面
・学習後の場面
[2] 評価基準
評価目標を設定した後,問題となるのは,評価基準の設定のしかたである。目標の達成を支える評価基準は,具体性のあるものでなければ,評価するときに困難になる。
したがって,本研究では,達成度を判断するのにできるだけ客観性を持たせるために,十分達成(+),おおむね達成( 0 ),達成不十分(−)とした。
評価基準は,次のような考えを基本として設定した。十分達成(+)については,認知面の理解に支えられて,目標達成に向かって行動している状態で表現した。おおむね達成( 0 )については,目標達成のために,意欲や関心はあるが,内容面で見落しがあったり,理解したことが実践の場で確実に使われていなかったりしている状態で表現した。達成不十分(−)については,意欲や関心が乏しかったり,理解したことが,実践の場ではほとんど役立っていない状態を表すようにした。
評価目標 評価基準
作品の題名に関心を持ち,学習に取り組もうとする。(+) ( 0 ) (−) 作品の題名に関心を持ち,進んで学習に取り組もうとしている。 作品の題名に関心を示そうとしている。 作品の題名に関心を示さず,学習意欲がみられない。 ・「やまなし」という題から想像したことを進んで発表しようとしている。
・「やまなし」が作品にどのように描かれているかさがそうとしている。・自分か発表しようとせず,友だちの発表を聞いて,同意見のハンド・サインだけをしている。 ・先生の話や友だちの発表を聞こうとしない
・話し合いに参加しようとする様子がまったく見られない。[3] 評価方法と評価の時期
評価方法は種々あるが,ここでは,目標によく適合し,簡便な方法を考え,「観察法」,「自己評価法」(多肢選択法,記述法)を用いた。
評価の時期については,1学期とか,1年間という長期間にわたる時間的経過で評価しなければならないことが多い。
例えば,文字を取り上げても,「習った漢字や片仮名を正しく使おうとしている」という基準で評価する場合,最初に書いた作文,1学期後に書いた作文,学年の最後に書いた作文などを,個入別に対比しながら評価することなどである。しかし,その反面次のようなことも考えられる。国語科の学習では,単位時間の中で,「関心・態度」が芽生え育っていく面もある。したがって「関心・態度」は,長期の学習の総括として評価の対象とすると同時に,積極的に単位時間の指導目標の中に設定し,形成的評価の対象として考えていくことが大切である。