研究紀要第69号 「『関心・態度』の評価に関する研究 III」 -020/058page

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う「手だて」によって生じたと考えることができる。

・情意面における指導と評価を考えるときに最も大切なことは,いかにして児童の興味・関心を呼び起こし,高め,育てていくかということであろう。そこで,指導者としては「呼び起こし」,「高める」ための有効な「手だて」を用意することが大切になってくる。この点で,今回の評価目標に対する指導者の"やまなしの実物提示"という「手だて」は適切であったといえる。

第2時限目以降,教室の壁面や後方に「やまなし」に関する資料が見られた。実物のやまなしの葉と実を合わせたもの,かわせみの模写(カラー),「やまなし」本文の草稿のコピー,ラムネのびんなど。このうち「やまなし」草稿のコピーは,児童が市立図書館で見つけてきたものであり,ラムネのびんも児童が自宅から持ってきたものという。これらは作品の認知面の理解に役立つものであるが,それを見つけ,教室に持参するところに,情意面の高まりがあらわれているといえる。

―― 検証授業II ――

評価目標 2
読み取った情景を説明できる絵を描こうとする。

評価方法:観察法(マイナス・チェック)
       自己評価法(記述法)
評価基準
読み取った情景をスケッチしようとしない。
○スケッチしようとする様子がまったく見られない。
○作品の情景と関係のない絵をスケッチしている。
評価場面:調べるの後半の段階
「やまなし」の感想を話し合い,200字以内の初発の感想をまとめた後,この作品に描かれている情景を説明できる絵を描く場面。

[1]  評価の位置づけ

「やまなし」の単元名は「情景を想像しながら」である。イメージ豊かに描かれた作品の情景を児童のみずみずしい感覚を通して想像させようとするものである。

今回の指導計画では,単元の趣旨にのっとり,イメージ豊かに読み取る学習方法の一つとして,「作品の情景を説明できる絵を描く」という活動を取り入れた。「作品の情景を説明できる絵」とは,形とことばの両方を用いて作品に描かれている情景をとらえた絵のことである。「五月」と「十二月」の構成とその対比,視覚的な表現など,この学習方法は「やまなし」の学習において,最も有効な「手だて」と判断した。

評価目標2は,その第1段階として初発のイメージを絵に描く場面である。作品の情景を把握していく手がかりとして重要な場面と考え設定したのである。

[2]  評価の実際と結果

授業での評価場面の実際は次の通りである。

この作品の情景を説明できる絵を描いてみましょう。
○「五月」に描かれている情景
○「十二月」に描かれている情景

指導者は達成不十分(−)の児童をマイナス・チェックしたが該当者はなかった。早い遅いの差は見られたが,全員スケッチする状況が見られたと評価している。観察者の評価は次の通りである。

<表5>評価目標2における観察者(10名)の評価
抽出児
評価基準
A子 B男 C男 D男 E子 F子
十分達成(+) 1 2 2 2 2 1 10
おおむね達成( 0 ) 0 0 0 0 0 0 0
達成不十分(−) 0 0 0 0 0 0 0

実際の授業においては,指導者が「情景を説明できる絵を描くんですよ。」と指示した後,約11分


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