研究紀要第69号 「『関心・態度』の評価に関する研究 III」 -024/058page
録がマイナス要因を指摘するものが二つあった。そこで児童の自己評価法による「反省カード」を調べてみたところ,前掲の通りほぼ指導者,観察者の評価と一致していた。この結果から観察法と自己評価法を組み合わせることは,より客観的な評価に近づく方法として有効であるといえる。
・評価の実際の欄に述べているように,C男に対する観察者T 1 ,T 2 の評価が分かれた。観察者T 2 は十分達成(+)の評価基準である「効果的に〜」という基準に着目しておおむね達成( 0 )と評価したのである。
小学校6年生における「関心・態度」の達成目標は,「効果的に〜」,「適切に〜」が大きく取り上げられている。この点を踏まえて設定した評価基準であるが,その観点からおおむね達成( 0 )と評価したのである。観察者T 2 はさらに次のように指摘している。
観察者T 1 ,T 2 の評価が分かれたのは,観察者T 2 の指摘する点についての共通理解,研究が不足していたためと考えられる。今後検討しなければならない課題である。―― 検証授業III ――
評価目標 3
本時の授業をふり返って,授業全体への取り組み状況を反省する。
評価方法:自己評価法(多肢選択法,記述法)
評価場面:まとめの段階
次時の予告がおわり,授業が終了した場面。[1] 評価の位置づけ
授業の終了時に,多肢選択法と記述法を組み合わせた自己評価用紙(「反省カード」)を配布し,授業についてふり返らせる。それは,本時の授業に対する児童の取り組みの状況,特に観察法では評価しにくい児童の内面を把握し,次時以後の指導に生かすためである。また,児童が本時をふり返り,反省を書くことによって,次時の学習に新たな意欲を持って望むことを期待して設定したのである。
<表7>反省カード
反省カード 11月19日 6年2組 氏名( )
ア 今日の授業はよくわかりましたか。
1.よくわかった 2.だ'いたいわかった3.わからなかった
イ 今日の授業にしんけんにとりくみましたか。
1.とりくんだ 2.だ'いたいとりくんだ3.とりくまなかった
ウ 発表は活発にできましたか。
1.活発にできた 2.だいたいできた3.活発にできなかった
エ 他の人が発表しているとき.それをよく聞きましたか。
1.よく聞いた 2.だいたい聞いた3.聞かなかった
オ 自分のスケッチに,つけ加えたりなおしたりできましたか。
1.できた 2.だいたいできた3.できなかった
カ 今日の授業で感じたことをかんたんに書きなさい。
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______________________[2] 評価の実際と結果
多肢選択法においては,項目の決定のしかたが妥当であったか。記述法については,毎時間終了時に書かせていたので,慣れていたと思われる。しかし,書く時間が短いなどの理由から,十分な授業の反省がされてないものもある。全児童の「反省カード」記録結果を次頁に掲げる。