研究紀要第69号 「『関心・態度』の評価に関する研究 III」 -026/058page
・<A 多肢選択法による反省>
ア,イの項目は,本時の授業全般についての反省として設定した。アの項目は主に認知・技能面を取り上げており,イの項目は主に情意面について取り上げている。
ア 今日の授業はよくわかりましたか。
よくわかった 23人 57.5% だいたいわかった 17人 42.5% わからなかった 0人 0%
イ 今日の授業にしんけんにとりくみましたか。
とりくんだ 26人 65.0% だいたいとりくんだ 14人 35.0% とりくまなかった 0人 0%
ア,イの項目とも,「わからなかった,とりくまなかった」という児童はいなかった。アの「よくわかった」とイの「とりくんだ」の割合を比較するとイの方が高く,情意面での高まりが見られる。ウ,エ,オの項目は,本時の授業で評価目標につながるそれぞれのポイントでの反省として設定した。ア,イの項目に対する下位目標と考えられるものである。
ウ 発表は活発にできましたか。
よくできた 12人 30.0% だいたいできた 28人 70.0% できなかった 0人 0%
エ 他の人が発表しているとき,それをよく聞きましたか。
よく聞いた 21人 52.5% だいたい聞いた 19人 47.5% 聞かなかった 0人 0%
オ 自分のスケッチに,つけ加えたりなおしたりできましたか。
よくできた 23人 59.5% だいたいできた 16人 40.0% できなかった 1人 2.5%
ウ,エの項目では「できなかった,聞かなかった」という児童はいなかったが,オの項目で1人「できなかった」という児童がいた。ウの項目の「よくできた」が,エ,オの項目の「よく聞いた」「よくできた」に比較して割合が少ないのは,「発表」という項目の性質のためであると考えられる。・<B 記述法による反省>
記述法による感想を内容別に分類すると次の3通りになる。
(a) 認知的・技能的内容の表現
(b) 情意面内容の表現
(c) (a)と(b)と双方を含んだ表現
これを児童別にまとめると次のようになる。
<表9>記述法による感想の内容別分類
(数字は児童番号)※( )は双方に分かれて表現されているもの
(a) 認知的・技能的高まりに関する表現をした児童 わかった
できたわからなかった 9 18 21 2426 33 34 35 36 39 17 (b) 興味・関心の高まりに関する表現をした児童 楽しかった
よくとりくめたとりくめなかった 3 5 6 8 10 12 13 15 20 23 37 40 16 32 (c) (a),(b)双方の高まりに関する表現をした児童 わかって
楽しかったできなくて楽しくなかった 1 2 (7) 11 14 19 22 25 27 28 29 3031 38 (41) 7 (41) この表では,(a),(b),(c)に分けているが,一般的な形としては,(a)認知・技能と(b)情意とが一体となった(c)の表現になるのが自然であろう。今回は,きわめて短時間で書いていることや,児童の表現上の技術の点などから,(a)または(b)の表現になったものと考えられる。
情意的な内容について高まりを示している児童は27名(67.5%),同時に「わかった,できた,楽しかった,進んで〜した」などの高まりを示す表現をした者が37名(92.5%)いることが明らかになった。