研究紀要第69号 「『関心・態度』の評価に関する研究 III」 -036/058page
(1) 理論研究
保健体育科における「関心・態度」のとらえ方について,文献により研究する。
【研究内容】
○保健体育科における「関心・態度」の位置づけ
○「運動に対する関心・態度」の階層性
○「関心・態度」の評価方法(2) 実践研究
文献研究で得られた理論を,研究協力校における授業実践によって検証する。
【研究内容】
○評価計画
○検証授業による実践研究
・「関心・態度」の形成的評価
・手だてとその有効性
○単元展開における「関心・態度」の評価3 保健体育科における「関心・態度」
「関心・態度」の評価の在り方を研究するためには,保健体育科における「関心・態度」の意味を明らかにしておく必要がある。
(1) 保健体育科の目標と「関心・態度」
中学校学習指導要領には,保健体育科の目標が次のように示されている。
運動の合理的な実践を通して運動に親しむ習慣を育てるとともに,健康・安全について理解させ健康の増進と体力の向上を図り,明るく豊かな生活を営む態度を育てる。 さらに,中学校指導書保健体育編(文部省)では,この目標を次のように解説しているが,それは次のように読み取ることができる。
保健体育科の目標としては,
○健康の増進と体力を向上させること。
○明るく豊かな生活を営む態度を育てること。
目標達成のための方法としては,
○運動を合理的に実践すること。
○運動に親しむ習慣を育てること。
○健康・安全について理解させること。
なお,「健康・安全について理解させること」については,主に保健分野に関する教科の目標ととらえることとしている。さらに「……運動に親しむ習憤を育てる……」の部分は,保健体育科独自の特徴であり,特に中学校保健体育科のねらいどころを示したものであると解説している。以上の解説のうちさらに「運動を合理的に実践すること」と「運動に親しむ習慣を育てること」について,分析された内容から,学校体育のあるべき姿を考えると,次のようになるであろう。
○生徒一人一人の心身の発達や能力などを考慮した適切な学習の場を工夫することによって,生徒の運動に対する興味や関心が高まる。
○運動に対する興味や関心が高まれば,生徒は主体的に体育学習に参加して運動の特性に触れる楽しさを味わうようになり,運動への意欲がさらに高まる。
○運動への意欲がさらに高まれば,生徒は運動の特性に触れる楽しさを自発的に求め,健康の保持・増進や余暇の善用を考慮しながら日常的に運動を実践する習慣を身につけるようになる。
○運動を実践する習慣を身につけることにより,保健体育科の目標である「健康や体カが向上し,生涯にわたって明るく豊かな生活を営む態度」が形成されてくる。
このような生徒の情意面の深化・発展の様相が運動に対する「関心・態度」なのである。つまり保健体育科の目標からは,運動することそのものを学習内容とし,運動に対する「関心・態度」を高めることを中心的なねらいとしていることが理解できる。
(2) 運動に対する「関心・態度」
保健体育科の「関心・態度」については,文部省が示した生徒指導要録の「観点別学習状況評価のための参考資料」で,次のように述べている。