研究紀要第69号 「『関心・態度』の評価に関する研究 III」 -037/058page
運動の実践に必要な公正,協力,責任などの態度を身につけ,最善を尽くして運動を実践しようとするとともに,自他の健康や体力に積極的に関心をもち,明るく豊かな生活をしようとする態度を身につけている。 さらにこの内容を受けて,体育分野の「関心・態度」を,次のように述べている。
各種の運動の実践に必要な公正,協力,責任などの態度を身につけ,体力の向上や課題の達成を目指し,最善を尽くして積極的に運動しようとする。また,自他の健康や体力に関心を持ち,健康・安全に留意して運動するとともに,進んで運動の特性に応じた楽しさを体得しようとする態度を身につけている。 これは,まず,各種の運動を安全にしかも効率的に実践するために必要な「公正,協力,責任などの態度を身につける」ことを前提的に述べた上で,「関心・態度」の内容を次のように整理することができる。
[1]体カの向上や課題の達成に関心を持つ
[2]自他の健康や体カに関心を持つ
[3]最善を尽くして積極的に運動する
[4]進んで運動の特性に応じた楽しさを体得しようとする態度を身につける。このように整理すると保健体育科の「関心・態度」の趣旨は,関心から態度へ発展している内容としてとらえることができる。
(3) 運動の特性と楽しさ
生徒に運動の特性に触れさせる楽しさを味わわせて,「運動に対する関心・態度」を高めることが保健体育科における中心的なねらいであることからすると,まず,運動の特性や体育学習における楽しさを明らかにしておかなければならない。
[1] 運動の特性
体育分野における運動領域の内容は,運動の特性に応じて「体操」,「個人的スポーツ」,「集団的スポーツ」,「格技」,「ダンス」に分けられている。それぞれの領域は次のような特性をもっている。
[2] 楽しさ
「楽しい」とか「楽しくない」ということは,人間の内面にある感情の表出現象であり,欲求と充足との関連でとらえられなければならない。
体育学習においては,その目的や内容が運動することそのものにあるので,生徒がそれぞれの運動の特性に十分触れようと努力した結果運動欲求が充足されたときに特に楽しいと感じるものである。
4 「関心・態度」の目標分析
評価を行うためには,「関心・態度」の達成目標が設定されなければならないが,その際には次の点に配慮する必要がある。