研究紀要第69号 「『関心・態度』の評価に関する研究 III」 -046/058page

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6 検証授業の分析と考察

ここでは,克服的スポーツであるマット運動に生徒が自ら進んで意欲的に自己の課題に取り組み,それを解決しようとしているかどうかという「関心・態度」の評価に焦点を当てている。実際に単元の中に検証授業を設定して単位時間内の評価を試みた。検証授業は単元の中において,マット運動の特性である克服場面が顕著に表れ,情意面と認知・技能面ともに最も高まるであろうと考えられる3時間目に設定した。

検証授業における評価場面については,観察法と自己評価法を中心に4回設定した。また,抽出生徒として6名選び,当センター所員16名が分担し詳細に観察した。抽出生徒のタイプについては次の通りである。

<表5> 抽出生徒のタイプ
技能
意欲
No.5 No.1 No.9
No.15 No.8 No.10

ここでは,抽出生徒について,指導者の評価とフィードバックの状況と観察者の観察結果を併わせて記述する。ただし,No.10(技能―低,意欲―低)の生徒は当日見学者だったため項を別にして記述する。具体的には,検証授業において設定した4つの評価目標について,(1)評価の位置づけ(2)評価の実際と結果(3)考察という手順で述べることにする。

なお,以後の記述においては,検証授業を行った者を「指導者」,抽出生徒を「生徒」,観察だけを担当した者を「観察者」と表記する。

評価目標1
自己の能カに応じて克服可能な技を決めようとする。

評価方法:観察法……プラスとマイナスのチェック
評価基準: (+)…… 本時に練習すべき自己の能力に応じた技を決めようとしている。
( 0 )…… 本時に練習すべき技を決めようとしている。
(−)…… 本時に練習すべき自己の能力に応じた技を決めようとしていない。
評価場面: 課題把握の段階
・学習カードや技のチェック・カードを見ながら,本時の自己の課題を班員と相談したりして決める。

(1) 評価の位置づけ

前時では,できる技の中から連続技を構成して楽しむというのが主たる学習内容であった。
本時では,前時の連続技を発展させるための新しい技をマスターし,この新しい技を組み入れた連続技を構成する見通しをもつことが主たる学習内容である。
以上のことから,評価目標1は本時はもちろん以後の動機づけや意欲の持続ということからもたいへん重要な意味を持っているといえる。

(2) 評価の実際と結果

評価する際,指導者はプラスとマイナスのチェック,観察者はプラス,ゼロ,マイナスのチェックをした。評価目標2以降も同様である。
授業での具体的な評価場面は,次の通りである。

・班ごとに集合し,ペアになり相手と相談をし,各人が学習カードを用いて課題を決める場面
(ア)前時で練習した連続技を確認する。
(イ)チェック・カードで,もう少しでできそうな技(△印)の確認をする。
(ウ)チェック・カードで,できそうな技(△印)の中から連続技に組み入れたい技( ○の中に△の記号 印)を決める。

<結果>
指導者は4名(No.5,No.15,No.1,No.9)をプラス・チェックし,観察者も同じ4名を評価基準


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