研究紀要第69号 「『関心・態度』の評価に関する研究 III」 -047/058page
(+)のa,b,cによりプラス・チェックしている。指導者はマイナス・チェックをしていないが観察者は1名(No.8)を評価基準(−)のbによりマイナス・チェックしており,具体的には次のように記録している。
・自己評価の欄に関心が向いているようだ。
・技の決定の際,ペアの相手の学習カードばかり見ており,自分では考えようとしていない。(3) 考察
プラス・チェックについては,指導者と観察者の観察結果が一致したが,マイナス・チェックについては不一致がみられた。No.8の生徒については状況からするとフィードバックの対象だったと考えられるが,この場合チェックできなかったようである。
生徒たちは,学習カードとチェック・カードを関連づけて学習目標の確認をしていたようである。具体的な評価場面(ア),(イ)については多くの者が簡単に確認できていた。(ウ)については苦労していた者が多く,班員やペアとの話し合いだけでは,技を決めかねていたようであった。認知・技能面のつまずきが原因であり,それが情意面の高まりに影響を与えていたと考えられる。
生徒の中にはもう少しでできそうな技(△印)がない者がおり,技の選択に迷い,できそうもない技(×印)の中から選んでいた。このことは,評価基準では(−)に該当するが,観察者はマイナス・チェックしていない。この生徒は情意面では決して低いのではなく,(△印)の技がなかったため自分で判断をして(×印)技の中から選んでいたのである。この部分の評価基準を見直す必要がある。
学習カードとチェック・カードについて,観察者の記録によると,技能の高低にかかわらず意欲の高い生徒ほど効果的に利用していたとのことである。今後よりよいカードをつくることと,カードと関連づけた技の解説書を参考資料として提示することがより情意面の高まりを促すと考えられる。
全般的にみてこの評価場面は,学習カードとチェック・カードの活用状況を観察することにより,生徒の課題把握の様子を的確にとらえることができた。この評価場面での学習カードの効用が確認されたととらえることができる。
評価目標 2
選択した技が自己の能力で克服可能かどうかを,練習を通して確認しようとする。
評価方法:観察法……プラスとマイナスのチェック
評価基準: (+)…… 選択した技のうち自己の能力に応じた技を練習し,そのできばえを真剣に確認している。 ( 0 )…… 選択した技が自己の能力で克服可能かどうか練習を通して確認しようとしている。 (−)…… 選択した技の練習やそのできばえの確認をしようとしていない。
評価場面: 課題追求の段階
評価目標1で設定した本時の課題(新しい技)が自己の能力に合っているかどうかを,ペア学習,グ ループ学習による相互評価を混じえながら,練習を通して確認する。(1) 評価の位置づけ
この評価目標は課題確認した技が,果たして自分の能力で克服可能かどうかを練習でためすということである。具体的には,新しい技について克服できる見通しをもつ,また,無理な技であるならば,再検討して技を変更する。このことが自信をもち意欲的に練習に入るために重要なことであると考え,この評価場面を設定したわけである。
(2) 評価の実際と結果
授業での具体的な評価場面は,次の通りである。
各班ごとに次の手順で行動する。