研究紀要第69号 「『関心・態度』の評価に関する研究 III」 -048/058page

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(ア) 班の中でペアの相手の技を確認し,練習に入る。お互いに補助し合ったりアドバイスをする。
(イ) 技が自己の能力に合っていない場合は変更し新しい技を設定する。
(ウ) 練習すべき新しい技の確認ができている。

<結果>

指導者は,2名(No.8,No.15)をマイナス・チェックしている。No.8の生徒は評価基準(−)のaが該当した。No.15の生徒は評価基準(−)のcが該当し,具体的にはペアの相手の技を練習していたためであった。フィードバックは,No.8の生徒については学習カードによりもう一度確認するよう指示したが,技の選択に迷いがあり自信をもって練習できないでいる状態であった。No.15の生徒についても同様の指示であったが,技の難度が高かったことに気づき,ペアの相手と相談し技の変更(倒立前転→開脚前転)をして,練習に入っていった。

指導者は2名をマイナス・チェックしたが,観察者は,1名(No.8)だけを評価基準(−)のaによりマイナス・チェックしている。No.15の生徒については,この評価場面全体を通してゼロとチェックしていた。このことは,フィードバックによる変容まで加味した評価の結果である。

他の3名については,指導者も観察者も評価基準(+)のa,cによりプラス・チェックしている。この中で,No.1の生徒については,指導者やペアの相手に自らアドバイスや補助をもとめ課題(倒立前転)を意欲的に18回も練習して,早くも課題を克服している。

(3) 考察

この評価場面で課題が確認され,見通しをもつことができれば,自信と意欲をもって次の練習場面に入ることができる。

ここで問題点として取り上げるのは,No.8の生徒である。課題把握の段階の評価目標1において,観察者がマイナス・チェックした生徒であるが,やはり自己の課題をつかんでおらず,この評価場面で指導者がフィードバックしているが,迷いから抜けだせなかったようである。

また,プラス・チェックのNo.1の生徒は正確に課題を把握しており,自ら課題解決に向かって意欲的に取り組んでいる姿が観察されているという事実がある。生徒2人に両極端の学習活動が見られたということは,具体的な練習に入る前に課題を正確に把握し見通しをもたせるということの重要性が確認されたということであろう。

フィードバックがうまくいった例としてNo.15の生徒があげられる。技の難易度を判断できなかった結果,自己の能力以上の技を練習していたのを指導者の適切なアドバイスによって気づき,技を変更して意欲的に練習するようになった。

フィードバックはその場に応じて適切にすれば情意面の高まりと同時に技能の向上にもつながるということである。

また,実際の練習に入る前にペアの相手や班員が,互いにどの技を課題に選んでいるか具体的に確認ができており,協力して補助活動をしていたことは認知・技能面とともに情意面での高まりととらえることができる。

以上のことから,この評価目標は有効に機能していたと考えられる。

評価目標 3
連続技に取り入れる新しい技を練習しようとする。

評価方法:観察法……プラスとマイナスのチェック
評価基準: (+)…… 連続技を意識しながら工夫したり努力して新しい技を練習しようとしている。
( 0 )…… 連続技に取り入れる新しい技を練習しようとしている。
(−)…… 連続技に無関係な技の練習をしようとしている。
評価場面: 課題追求の段階
各班ごとにペア学習を中心に,相互評価や補助をし合いながら練習


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