研究紀要第69号 「『関心・態度』の評価に関する研究 III」 -049/058page

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し連続技に組み入れる新しい技をマスターする。

(1) 評価の位置づけ

マット運動における連続技をより発展させるために必要な新しい技をマスターし,それを連続技の構成を考えてどこに組み入れるかの判断がこの評価場面のポイントである。単に新しい技をマスターするというのではなく,連続技全体の流れの中のどの部分にどのような新しい技を入れると効果的か,ということを考えなければならない。この新しい連続技をつくりだす過程が,マット運動の特性である克服場面につながるということから技能面,情意面ともに最も高まる場面であると考えることができる。ここでの生徒の活動が本時のみならず,単元全体に大きく影響を与えるということから,たいへん重要な評価場面である。

(2) 評価の実際と結果

授業での具体的な評価場面は,次の通りである。

(ア) 連続技の構成上,最も適した技を決定してマスターする。
(イ) マスターした新しい技を連続技と関連づけて練習する。

<結果>

指導者は1名(No.8)を評価基準(−)のaによりマイナス・チェックした。観察者も同じである。何かしようとしてためらっていたNo.8に対して,フィードバックをした。技の再確認(開脚前転)をさせ,ペアの相手に対して補助の指導があった。その後,この生徒は新しい技の練習に入り,その後,連続技として2回練習するまでになった。
この結果,観察者の評価も(−)→( 0 )→(+)へと変化していった。

他の生徒については,指導者と観察者がNo.1を評価基準(+)のcによりプラス・チェックした。この生徒は連続技として前転または側転から倒立前転への構成を考えており,意欲的に何回も練習していた。指導者の「いいぞ」という励ましの言葉もあった。他の3人については動きが多様になったため,観察者が判定する際評価が(+),( 0 ),(−)にまたがっていた生徒を全体的にまとめた結果( 0 )と判定していた。

(3) 考察

この評価場面は,生徒の意欲と活動が最も高まるであろうと想定していたのだが,生徒の活動状況は,次の2つのタイプに分かれたようである。

(ア) 新しい技を連続技に組み入れようとして意欲的に何回も練習している。
(イ) 新しい技をどのように組み入れたらよいか迷い,学習カードを見ることが多く,練習回数が少ない。

(ア)のタイプについては,No.1の生徒とフィードバックにより変容したNo.8の生徒があげられる。No.1の生徒は評価目標2のところでも意欲的に練習して新しい技をマスターしており,この場面では連続技の構成を考えながら練習している。指導者の励ましの言葉もあり大変はりきっていた。認知・技能面,情意面ともに高まりを持続できたことが理想的な活動につながったと考えられる。No.8の生徒は評価目標2のところで技の決定が明確でなくフィードバックしてもあまり変化がなかったが,再度のフィードバックにより技を決めることができ意欲的に練習するようになった。指導者のちょっとした励ましの言葉により生徒は活動意欲を起こすものである。また,フィードバックを確実にすれば,意欲が高まり技能の向上につながるということが,この場面でも明らかにされたのである。

(イ)のタイプについては,他の3人があげられるが,このような傾向がみられたのは,決っして意欲が低下していた結果ではなかったようである。これらの3人の生徒は学習カードで検討を繰り返していたが,結局連続技のどこに新しい技を入れたらよいか決めかねていたのである。その結果として,意欲はあるが具体的な練習に移せなかったようである。この場面の活動時間が少々足りなかったことも一つの原因と考えられる。

次に,観察者が評価の判定に迷ったという点についてであるが,具体的にはNo.9の生徒を例にあげて説明する。この生徒は,評価基準が(+)のc,( 0 )のd,(−)のaというように時間の経過とともに動いている。他の生徒にも同様の傾


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