研究紀要第69号 「『関心・態度』の評価に関する研究 III」 -050/058page

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向を見ることができる。この原因としては評価基準を生徒が積極的に活動する場面であるとの想定のもとにこの評価基準3を設定したのである。しかし,生徒が学習カード中心の活動をしたために結果として(+),( 0 ),(−)の基準にまたがる生徒が出てきたと考えられる。また,学習カードの利用場面として適していないのではないかという観察者の指摘があった。このことは,前出の(イ)のことを指していると考えられる。今後これらのことについては,評価基準を十分検討し適切な基準にする必要がある。

多くの生徒の感想文の中に,「もっと時間がほしかった」との記述があった。このことは意欲が高まっていてもっと練習したいという生徒の気持の表われととらえることができる。生徒の活動意欲をより高めるとともに意欲を持続させるために指導過程に時間のゆとりをもたせる必要がある。

この評価場面において,生徒たちは課題を克服するために工夫したり協力して練習していた。この克服場面において情意面,認知・技能面ともに高まっていた様子をとらえることができたのは,生徒たちがマット運動の特性に触れることができていたということであろう。

評価目標 4
本時の学習について反省しようとする。

評価方法
  ・観察法……プラスとマイナスのチェック
  ・自己評価法・相互評価法……学習カード
評価基準: (+)…… 学習カードを見ながら真剣に反省しようとしている。
( 0 )…… 反省しようとしている。
(−)…… 反省しようとしない。
評価場面: 整理・発展の段階

(ア) 学習の取り組みについて,学習カードで自己評価し,感想を書く。
(イ) 教師の問いかけに対して,学習カードを参考にして挙手により意志表示をする。

(1) 評価の位置づけ

本時の評価目標1のところで,明確に課題を把握した生徒とそうでない生徒との学習意欲に差があるということが明らかにされている。この評価場面は,本時の学習の反省と同時に次時への見通しをもつということがねらいである。

また,新しい連続技をつくりだすことへの意欲を持続させるためにも,この評価場面は大切である。

(2) 評価の実際と結果

授業での具体的な評価場面は,次の通りである。

(ア)学習カードについて,次の作業がなされている。

・学習内容の欄が記入され整理されている。
・反省欄の4項目について,正確に自己評価をしている。
・努力した人の欄に班員の名前が記入してある。
・感想の欄が記入してある。
(イ)指導者の問いかけに,挙手をして意志表示をしている。

<結果>

指導者と観察者は,1名(No.8)を,評価基準(−)のaによりマイナス・チェックしている。他の生徒は,評価基準(+)のaによりプラス・チェックしている。マイナス・チェックのNo.8について,観察者は具体的に次のように記録している。

何となくボッとしている。班から離れてポツンとしている。他人の反省を見ているだけで自分の反省を学習カードに記入しない。教師の問いかけに,反応を示していない。

なお,プラス・チェックの生徒について,一部に形式的な反省の傾向が見られた。また,連続技に自信がもてないでいると考えられる生徒がいたとの指摘があった。

(3) 考察

この評価場面は,反省を充実させ,次時への意欲をもたせるということがねらいであった。マイナス・チェックのNo.8の生徒は,課題把握の段階


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