研究紀要第70号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -026/071page

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事例 6

まばたきや奇声などを連発する癖が治った小学生の事例

1.主訴    チ ッ ク

2.対象    小学校4年 男子

3.問題の概要

● 入学当初より落ちつきがなく、授業中友達に話しかけたり席を離れたりした。
● 2年生ごろからまばたきをしはじめ、次第に多くなった。その後、奇声に変わっていった。
● 3年生の初め、専門医より心因性のチック症と診断された。その後、専門医の指導により奇声は消失したが、バカ、ウンコ、チンポ、ボッキなどと言うようになった。
● このような症状は、家庭でも同様にあった。
● 4年生になり、肩すくみと共に奇声を連発するようになったので、当教育相談部に来談した。

4.資   料

(1)本人(以下A男)に関する資料

● 身   体
 出生時体重 3,050gで正常分娩。母乳とミルクで育ち、発育良好。誕生前に歩く。

● 運動・行動
 3歳時検診では「落ちつきがない」と指摘された。手先は器用であり、毛筆、絵画は何度も展覧会で入賞している。運動は水泳、サッカー、ソフトボールなど万能である。

● 知能・学業
 知能偏差値 54(4年生、教研式)
 学業成績は、低学年までは普通であったが、中学年になり私語や勝手な行動がめだつようになってからは、下降気味である。

● 性格・情緒(人物画及び面接から)

性格・情緒(人物画及び面接から)

 繊細な感性を持ってはいるが、わがままで強情である。耐性に乏しく、神経質で落ちつきがない。 自己顕示欲が強く、攻撃的であるが依存的でもある。

● 基本的生活習慣
 幼稚園時の着がえは、いつも大の字に寝ころんでいながら祖母にしてもらっていた。
 母親に言われた部屋の整理整とんなどは、よくした。しかし学校での整理整とんはできなかった。

● 対人関係
 友達に誘われると「イヤ」と言えず断りきれない。担任が、職員室、他の教室への用事をたのんでも恥ずかしがり、一人では行けない。

● S−M社会生活能力検査(小4、5月)

S−M社会生活能力検査(小4、5月)

  生活年齢より、身辺自立、移動、作業の能力は 勝れているが、対人関係能力は著しく劣っている。

 (2)家族に関する資料

 ● 家族構成


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