研究紀要第70号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -030/071page

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事例 7

頭髪を抜く癖が治った高校生の事例

1.主訴    抜   毛(ばつもう)

2.対象    高等学校1年 女子

3.問題の概要

4.相談までの経過

 8月の中旬、本人の遅刻や欠席が目立ち始めた。また、部括動をやめたいと言っていることを耳にした。さらに、頭髪が急に薄くなってきたため、状況把握のため、学級担任が面接を実施した。
 以下は、本人と学級担任との面接状況である。
 (本:本人、学:学級担任)

学:「部活をやめたいの?」
本:「ええ、部の雰囲気が悪くて……」
学:「そう………雰囲気が……」
本:(かなり緊張し、じわっと汗ばんでいる様子、次第に興奮しながら)「私のこと、ハゲ、坊主とか言うし……」

 この会話を契機に、本人は部活内での対人関係の不満を一気に話し始めた。
 学級担任は、本人の退部したい気持ちが強いため説得をせず、退部する方向で同意した。
 (頭髪の様子…頭部全体が薄くなっている)

 9月に入って、遅刻、欠席が多くなってきた。また、頭髪もかなり薄くなってきた。学級担任はこの状態が続けば、不登校になるのではないかと懸念し面接を実施した。

学:「最近、遅刻や欠席があるようだけど、何か調子悪いのかな?」
本:「……ええ、学校に来たくないんです……おもしろくないし、みんなも悪口言うし……」
学:「そう……悪口……‥」
本:「ハゲとか坊主とか…‥クラスの者までも…」
学:「…‥…それはつらいよね……‥」

 本人と学級担任との人間関係がくずれると問題の回復が困難になることから、学級担任は本人の気持ちを十分に受けとめることに徹した。
 さらに、抜毛の背景を把捉し、根本的な対応が必要と考え教育センター教育相談部を紹介した。

5.資   料

 教育相談部では、学校からの紹介を基に、両親と本人に資料収集のための面接を3回実施した。また、精神科医の診断も勧めた。

● 本人の抜毛に対しての両親のかかわり
 抜毛することを叱責していた。

● 本人の性格、友人関係など
温和で口数が少なく自己主張することが少ない。また、プライドが高く少しの事をも気にする。友人は少なく、自分から積極的に交際するようをことはない。なお成績は普通である。


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