研究紀要第70号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -031/071page

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● 家族構成ならびに家族システム・力動

家族構成ならびに家族システム・力動

● 両親の性格と養育態度、ならびに姉弟の性格

・ 父   親
 口数は少なく温和であるが自己中心的なところがある。職場での人間関係をうまく持てない。特に 年下の者との関係が良くない。また、職場の人間関係のトラブルから転職を3回した。

 家庭では、独断的で気げんの悪い時は子どもにやつあたりをする。本人との接触は極めて少ない。

・ 母   親
 感情的に豊かさが見られず対人関係に淡白である。子どもの問題は学校の責任と考えている。また、母親として、子どもの悩みに心を痛めたり、悩んだりする様子はあまり見られない。

・ 姉
 対外的には温和であるが、家庭ではわがままで、本人に対して暴言や暴力をふるうことがある。高校3年時に一時、不登校をした。高校卒業後、しばらくの間、職が定まらず家でブラブラしていた。また、髪いじりのくせがある。

・ 弟
 おとなしい性格である。姉達より学業成績が良い。本人を馬鹿にしている。また、貧乏ゆすりのくせがある。

6.診   断

 多次元診断マトリックスを基に、次のように考えられる。
 温かみがなく、まとまりの弱い家族関係を背景に転校や母親の勤め始めで、より心のよりどころがなくなって、幼児期から続いた指しゃぶり、爪かみのくせが抜毛へ変化したものと考えられる。

          多次元診断マトリックス

多次元診断マトリックス


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