研究紀要第70号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -034/071page
事例 8
心理的緊張などによるおもらしが治った小学生の事例
1.主訴 お も ら し
2.対象 小学校3年 女子
3.問題の概要
4.資 料
- 幼稚園の時、一度おもらしをしたが、母親はそれほど気に留めなかった。その後、指しゃぶりをするようになった。
- 小学1年の時、弟が誕生した頃から指しゃぶりが激しくなり、おもらしも多くなった。
- 小学2年の時、専門医より心因性のものと診断された。
- 遊びや作業に夢中になっている時にたびたびみられ、一度父親におもらしが見つかりなぐられてからは、かくしている。
(1)本人(以下A子)についての資料
● 身体的発達・特徴
胎生期・出産期に異常は認められない。出生時体重2,700g。母乳の出が悪く、生後3か月までは人工乳である。その後、母乳で養育したが出が悪かった。その頃、母乳をもどしたり、受けつけなかったり、また離乳食を食べなかったり、もどしたりすることがたびたびあった。夜尿は2歳3か月ごろでなくなった。● 知能・学業
● 性 格
知能、学業とも中位であり問題はない。
自己中心的、短気、神経質で耐性に乏しい。● 基本的生活習慣
● 対人関係
A子の寝ている間に両親とも働きに出てしまうこともあり、洗顔、歯みがきなどのしつけがほとんどされず、朝食も食べずに登校することがある。小学1年頃は着がえも一人でできず、姉に手伝ってもらっていた。授業と遊びの区別がつかず、ふらふらと席を出歩くことが多く、忘れ物も多い。
朝早くから夕方遅くまで祖母に預けられた。祖母も仕事を持っていたので、ミルクを一度に多く与えるなどこまめに世話をすることはなかった。そのため抱かれた経験は少なかった。幼稚園には喜んで行ったが、ひとりで遊ぶことが多かった。みんなと一緒に遊んでも、自分の思い通りにならないと泣きわめいたり、頑固におし黙ったりすることが多いので孤立しがちであった。● 習 癖
● 摂 食
弟の誕生と共に指しゃぶりが始まり、現在も続いている。
おもらしをするという理由で、ジュース類はほとんど飲まされていない。● バウムテスト
不安傾向が強く、無意識の反抗を示している。性格的には自己中心的で、順応性を欠いている。 ● 学校での友達関係
A子は友達に不潔感を持たれており嫌われている。ソシオ・メトリックテストでは、24名中、男8名、女10名から排斥されている。● 家族構成とシステム
A子が一番好きな人は、近所に住む祖母(父方)