研究紀要第70号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -039/071page
● 性格、情緒
E型で劣等感が大きく神経質である。悩みが多いため行動が萎縮し自分の欲求不満をうまく解消できない状態にあると考えられる。 自分の感情を抑制して常に他人にあわせ、過剰に適応しようとする傾向がうかがえる。CMl健康調査表 (第1回面接時)
神経症判別図はW領域で、神経症が疑われる。身体的自覚症より精神的自覚症(不適応、抑うつ、怒りなど)の方が高い数値を示している。―社会的次元―
● 家族構成
● 家族関係
● 家族成員の性格と養育態度父親はまじめでき帳面、神経質である。外あたりはよいが家では言葉数が少ない。本人に話しかけることは非常に少ない。
母親は口数が多く物事を深く考えないで行動する反面、子供の問題については自信をもって対応することができない。自分の服装や化粧などにも無頓着である。家事をほとんどせず、父親、本人、妹まかせである。本人に対しては過干渉的にかかわり、病気になった場合は過度の心配をするが行動が伴わないことが多い。両親は共働きで帰宅が遅いため、本人を近所に住む祖母の家で過ごさせることが多かった。本人は祖母が大好きである。
● 教育に対する関心両親とも関心が薄く、仕事が忙しいという理由だけで授業参観などに出席しない。また、本人の症状に関しても担任が連絡するまでわからないでいた。
5.診 断両親の養育態度(放任、過干渉、拒否など)の不適切さから、神経質、心配性、自分の身体の状態に常に目をむける性格が形成されていった。そのようを背景があるところに小学生時代のおもらしが排尿に対する予期不安をひき起こし、頻尿になったものと思われる。
一時、症状は改善されたが、両親の養育態度や本人の性格などの変容がなかったため、修学旅行でのエピソードがもとになり現在の状況になったものと思われる。なお、これに周囲の無理解が症状形成を悪化させたものと考えられる。
6.指導仮説本人の身体症状や頻尿をひき起こす心理的を背景を除去するために、本人の性格に対するアプローチや養育態度の改善などを行う。そして、担任