研究紀要第70号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -041/071page
形で飲ませ、面接時間における尿意を観察した。
面接時間(90〜150分間)に尿意はなかった。その後数回の面接でも同様であった。その後、その観察事項を本人に話した。本人は、「リラックスしているときは、トイレに行きたくならないのね。」
と言った。
(4)両親の養育態度の改善を図る。● 学校での頻尿のことには絶対に触れないように依頼した。
● 幼児期からの養育態度についてふりかえってもらった。その結果、父親は、
母親は、
「学校のことなどこと細かく注意したことはあったが、肝心なことは放っておいた……。今後は相手になって聴いてやらなければ……。」
「私もあれやこれや言い過ぎたし、本当の意味では相手になってやれなかった……。これからは伸び伸びとさせるようにしなければ……。」その後、両親の養育態度は少しずつ改善されていった。
(5)校内での環境調整をする。養護教諭の主な話しかけ、「つらいでしょう。」「いつでもいらっしゃい。」「心配しなくてもいいのよ。」
- トイレに行きやすいように本人の席を廊下側に移して、いつでもトイレヘ行けるようにした。
- クラスの友達には、本人に温かく接するように依頼した。
- 必要ならいつでも保健室が利用できるように養護教諭に依頼し、受容的に接してもらうようにした。
8.考 察
上図は第1回面接時(9月28日)第9回面接時(2月10日)のCMI健康調査表のプロフィールである。上図より、身体的自覚症、精神的自覚症の改善がはかられたことがうかがえる。最近では、尿意も少なくなり、保健室へ行くようなこともなくなった。これは、本人の不安や身体症状を除去するためのカウンセリング、運動療法、自律訓練法などの効果と、学校や家庭でのかかわり方に適切さがみられた結果であると考えられる。また、担任のいち早い対応、担任、養護教諭と当教育相談部との連携が密であったことが改善の方向に向かわせた成果であると思われる。