研究紀要第70号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -044/071page
1.HRでの司会を免除する。
(4)乗物に対する不安を除去する。
2.各教科担任は授業で指名をしない。
1.メンタルリハーサルをする。
2.バス、汽車の乗車について成功体験をつませ自信をつけさせる。(5)日常、自由で気楽な生活ができるよう指導援助する。
7.指導援助の経過(1)自律訓練法
本:本人、C:カウンセラー本:「次の日に司会などしをければならないような時になると、下痢や腹痛になるのですが…。」
この後すぐ自律訓練法を指導した。
C:「それをコントロールする方法があるよ。」
本:「緊張したりして、下痢や腹痛が起きた時、それを治せるのですか?」
C:「あなたが本気になってやるつもりなら…。」
本:「そんな方法があるのですか……。ぜひ教えてください。」
C:「自律訓練法というのがあります。」
本:「自律訓練法?、ぜひやってみたいです。」
初めは計画通りできなかったが、次第に本気になって練習し始じめた。
その結果、
・「1日、朝、夕、就寝時3回実施している。」
・「もやーとした、温かい感じになる。終った後、なんとなくすっきりする。」
・ 当教育相談部で実施したところ、皮膚温は次のように上昇し、自律訓練法の効果がみられる。
30℃→33℃(2)両親へのカウンセリング
両親の養育態度に問題があるように思われたので、ラポールがはかられた後、親子関係診断テスト、エゴグラムを実施しその結果を参照しながら養育態度の改善について話し合った。
- 「本人の不安を解消するには、何よりも家族の支えが必要で、私達が中心になって一家団らんに気をくばる必要がありますね……。」
「本人の体の状態は知っていたが、祖父の入院、姉の大学入学と続き、私達もいそがしいものだから、なんとなくずるずる日がすぎてしまい相手をしなかったことが悪かったのですね。」と両親が話し始めた。- その後、父親はつとめて本人とのかかわりをもつよう努力した。朝食、夕食も一緒にとりながら話しかけるようになった。夏休みは列車による小旅行をし、本人も喜んでいた。その時は乗物に乗っても不安な様子が見られず、下痢も起こさなかった。
- 母親は、本人の体の様子を真剣に心配し、本人へのかかわりが多くなり、症状の改善がみられ始めた。
(3)姉、祖母へのかかわりについて
● 姉と面接をし、本人の症状を説明した。姉は自宅からの通学は無理なので土、日曜日はつとめて帰宅し本人の相談相手になりたいと言った。● 祖母には母親を通して本人へのかかわりを依頼した。祖母の帰宅は無理なので、本人を見舞いに行かせる形で病院に行かせ祖母との接触を図った。その時、できるだけバスを利用させ、乗物にならすことを考えた。
(4)学級担任による指導● 学級担任は、本人の症状をよく観察しながら、学級内での人間関係、他の先生との関係などについて調整を図った。
1.クラス全員に対しては、HRの時間に、他の人への思いやり、いたわりの大切さについて随時話をした。