研究紀要第70号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -045/071page
2.HRの時間の司会をさせなかった。
(5)乗物に対する不安を除去する指導
3.授業時間の指名をしないことについて、担当教科の先生に事情を話して配慮してもらった。なお、体育時は、場合によっては見学を許可してもらうなどの配慮を依頼した。● 本人にバスに乗れるよう計画をたてさせた。
目 標 バスに乗って登校できる。そのため、次のような順序を経た。
- 朝、自分で起きられるようにする。
- 朝食をかならず食べる。
- 毎朝、必ずトイレに行く。
- メンタルリハーサルをする。
<メンタルリハーサルの実際>ア 自律訓練法を実施する。
イ 朝、家を出るところから学校に到達するまでの道順に従い、乗物(バス、列車等)の乗り降りについて、細かくイメージをする。
ウ イメージの過程で緊張したり、不快感を感じた場合は、自律訓練法をし、その後再度その場面をイメージする。なお、メンタルリハーサルは学校生括場面での適応を図るためにも用いた。
- バス乗車の練習をした。
バス通学での不快感がへってきて、2学期末には乗物に自由に乗れるようになった。(6)本人が日常、自由で気楽な生活ができるための指導
8.考 察
- 店の手伝い、配達などをさせ、父親との会話の機会を多くし、少しのことでもほめた。
- 本人は写真撮影に興味をもっているので、その趣味をふくらませるよう、知人を紹介し写真撮影の指導を受けさせた。
- 家庭生活では、細かく指導せず、本人にまかせるようにし本人の物事の判断を尊重した。
指導援助の結果、次のような変容がみられた。
以上のことは、環境調整が図られ、自律訓練法、メンタルリハーサルなどの適切な心理療法と家族の変容を図る家族療法的アプローチが功を奏した成果と考えられる。
- 学校生活において、下痢や腹痛がほとんど消失した。
- 通学途上でも症状が消失した。
- 家庭でも伸び伸びと生活できるようになった。