研究紀要第70号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -049/071page

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吐くことに対する不安で学校生活がおもしろくないという訴え

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吐くことに対する家族の過干渉、不安的かかわり方への訴え

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吐くことの不安にかかわる自分の性格についての振り返り

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家族の中に自分と同じ性格を持つものの存在の発見

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家族への不満の訴え

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家族の自分への愛情の気づき

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自分の性格の見直しと吐くことに対してコントロールしようという意欲の現れ

● 家族との面接

本人の吐くことに対して理解できないことの訴えと本人の気弱さへの不満

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学校の対応への不満

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本人の性格と本人へのかかわりについての振り返り

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家庭内での人間関係への振り返り

● 自律訓練法

 本人が自分で問題を解決しようと意欲を示し、家族も養育態度の反省が見られた時点で自律訓練法を提案した。以下はその経過である。
  1. 自律訓練法の効用についての具体例を挙げての説明。
  2. 身体の生理的変化についての説明。
  3. 心と体との関係(緊張、不安→嘔吐)について説明。
  4. 緊張や不安の解消が嘔吐の改善につながることの説明。
  5. 重感、温感の順で指導。
 その後、吐き気を催す場面をイメージさせ実際場面での適応を図った。その結果、吐き気が次第に少なくなってきた。

8.結果と考察

 吐き気を催すことなく学校生活に適応できるようになった。
 それは、関係者の協力のすばらしさがあげられる。特に、担任と部活動顧問の連携が適切であった。しかも、熱心な、温かいかかわりが本人の緊張をやわらげ、本人の特技を発揮できるようにさせ、自信の回復を図ったことが症状の消失をもたらしたものと思われる。
 また、両親が親子関係の重要さに気づき、その改善にむけて積極的になったこと、子どもの症状の改善を半ばあきらめていた母親が、本気になってかかわったこと、本人が自律訓練法を熱心に継続したことなどが本人の症状改善に結びついたものと思われる。


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