研究紀要第70号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -051/071page
● 高校の進学希望校に対して両親は、暗黙のうちに、「B高校」をと決めていると思う。
● 父親は、おとなしい。父親に今まで叱られた記憶がない。父親は、母親に甘えている感じがする。
● 母親は、会社の仕事が楽しそうで、友達もたくさんいるらしい。2. 母親との面接
● 今まで、自分の欲しい物でも、ねだることがなかった。学校からの課題等も帰宅するとすぐにやり終え、手のかからない子である。● 母親自身の養育態度の背景として、母親の幼少のころのエピソードが語られた。(厳格な父と喜怒哀楽の激しい母との言い争いや、四人兄弟の中の一人娘として母親から、しっかり者と言われ頼りにされたこと)このことから、「子どもは、叱らないで冷静に話して聞かせながら育てよう。」と思い、養育してきた。
● 父親は、あまり子どものことには、口出しをしないが、時には極端にかわいがることがある。(4)諸検査とその解釈
● 学校から得た資料
知能偏差値 55(中1、教研式)
学力平差値 5教科平均53(中2、教研式)
● エゴグラム A子は、周囲に合わせて行動しやすいタイプである。また、他を批判することは少なく親切に振る舞うことが多い。そのため自己主張が少なく、相手のいいなりになる傾向がうかがえる。母親は、周囲のことはあまり気にせず自分の思ったことを押し通すタイプである。他に対しては、時には過干渉、支配的であると受け取られることがある。 A子は、母親が自分に対して放任、拒否、干渉なおかつ大きな期待をしていると見ており、母親は、A子に対し、溺愛し盲従していると思っている。互いに矛盾した見方をしている。● 性格検査 (YG) 本人
E型で情緒的不安定、非活動的な面が強い。特に自分に自信がなく神経質である。また、他と安易に妥協する傾向があり、若干、物事の判断に浅はかさがみられる。4.診 断
幼少時より感情や思っていることなどを自己表現することが少なく素直で「よい子」として育った。それは、母親がA子を過干渉、過支配的にかかわったが父親は、養育を母親にまかせ、母親の養育態度についても口をはさまなかったた