研究紀要第70号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -058/071page

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事例 14

常習的なシンナー吸引を克服した中学生の事例

1.主訴    シンナー吸引

2.対象    中学校3年 男子

3.問題の概要  

 中学1年のころから喫煙を始めたが、学校では目立つ存在ではなく、問題行動を持つ生徒としては見られていなかった。しかし、2年になると、服装が乱れ始め、それとともにつっぱりグループとの交友をするようになってきた。そして、友達に引きずられて喫煙や学校抜け出し、深夜徘徊などと問題行動を起こすようになってきた。この不良交友をきっかけとしてシンナー吸引を覚えたが、現在は、ひとりでシンナー吸引を繰り返している。

4.資料とその解釈

―生物的次元―

● 出生時は母子ともに健康で、正常分娩。
● 幼児期に軽いぜんそくがあった。
● 小学校3年まで夜尿が続いた。
● 現在まで偏食があるが、体格は平均的である。
● CMI健康調査表
 次の表からわかるように、身体的自覚症の「疲労度」、精神的自覚症の「不適応」「不安」「怒り」に高い数値が見られる。すなわち、常に疲労感があり、また、イライラや不安を感じて、日常生活では不適応の状態にあることが考えられる。
 両親が共働きのため、幼少のころの養育は近所の人に頼んでいた。また、兄や妹よりも両親とのかかわりが薄かった。さらに、夜尿の状況などから、愛情のあるかかわりがなされてこなかったと考えられる。

CMI健康調査表 (中3の8月実施)

CMI健康調査表(中3の8月実施)

                        

―心理的次元―

●知能偏差値 46(中3、教研式)

●学業成績

 
1年 3 3 3 3 2 1 3 3 2
2年 1 1 2 2 2 1 2 2 2

●出欠の状況

1年 欠席5日 (かぜ)
2年 欠席8日 (かぜ3日、怠学5日)

●性格・行動(1、2年の担任による見方)

1年 生活態度は明るいが耐性に乏しい。また、規範性はあるが、友達の言動に左右されやすい。


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