研究紀要第71号 「学校の経営過程における現職研修のあり方に関する研究 第1年次」 -006/126page
(2) 問題点と考察
1. 小学校における問題点と改善の方向
校内研修主題・内容を決める研究協議会への参加意欲
問 2 校内研修の主題や内容を決める協議会に,あなたはどのように参加していますか。
図−1 N=308
< 考 察 >
校内研修の主題や内容を決める重要な研究協議会への参加意欲を,全体的にみると,最も期待される3(丸囲み数字)の「反省資料を準備し積極的な話し合い」に回答したのは,約17%に過ぎない。校内研修への積極性が感じられる2(丸囲み数字)の「自分の考えをまとめて話し合い」の約22%と合わせても,全体の40%にも満たない。参加意欲の消極さがうかがえる4(丸囲み数字)の「できるだけ話し合いに参加」の約55%と1(丸囲み数字)の「意見は述べず黙って聞く」の約6%とを合わせると,全体の60%を超えることになる。自己啓発的な研修意欲を,校内研修の主題や内容を決める研究協議会への参加意欲の全体的傾向からみると,十分あるとはいえないようである。これを年代別にみると,20代の教師は,4(丸囲み数字)の約68%と1(丸囲み数字)の11%を合わせて,実に80%近い回答を示している。30代の教師は,2(丸囲み数字)の約32%と4(丸囲み数字)の約53%を合わせて約85%の回答を示し,40代の教師は,2(丸囲み数字)の約20%と4(丸囲み数字)の約56%を合わせて約76%の回答を示し,50代の教師は,3(丸囲み数字)の約42%と2(丸囲み数字)の約28%を合わせて約70%の回答を示している。この実態から,年代層が低いほど,積極的な取り組みに欠け,高いほど,意欲的な取り組みに努めているといえよう。
このような校内研修の主題や内容を決める研究協議会への参加意欲についての問題点には,校内研修主題・内容を決める研究協議会の重要性認識の不十分さと望ましい校内研修参加のあり方理解の不十分さ等とが,主な要因として考えられよう。
この要因を解決し,問題点を改善するには,
○ 自己啓発的に校内研修に参加することの重要性を深く認識する方策を工夫改善すること。
○ 校内研修についての研修を組み入れ,校内研修参加の基本的あり方を十分理解すること。
○ 自己啓発的に校内研修を推進するには,主題・内容を決める研究協議会への意欲的な参加が大切であることを理解する場を設定すること。
○ 特に20代の教師の参加意欲を阻害している条件を除去すること,などが考えられよう。