研究紀要第71号 「学校の経営過程における現職研修のあり方に関する研究 第1年次」 -009/126page
校内研修が中止になり,個人研修になった時間の活用現状
問 12 予定していた校内研修会が都合によりできなくなり,個人で研修することになりました。あなたは,その時間をどんなことに多く使っていますか。
図−4 N= 308
< 考 察 >
全体的にみると,1(丸囲み数字)の「校務分掌や学級の事務……」と回答した教師が61%もあり,期待をしたい4(丸囲み数字)の「先輩から指導助言を受けたり,自己研修をしたり……」の教師が約6%しかいないことは校務分掌や学級事務に追われている現実と個人研修として何をどのようにすべきかの理解の不十分さとがみられるように思われて問題である。4(丸囲み数字)の「個別指導や部活動などの子どもの指導……」の約30%も,同様な実態を意味しているように思われる。このことを年代別にみると,校務分掌や学級事務を多く担当する立場にある50代は,1(丸囲み数字)に約70%回答していることが分かる。20〜40代をみても,1(丸囲み数字)に約58%,約61%,60%と,たいへんに多い実態を示している。4(丸囲み数字)については,20代が約39%で30〜50代は,約25%,約29%約23%となっている。このことも,状況に応じて個人研修を後回しにして,別の教育活動に取り組みがちな実態を示しているように思われる。4(丸囲み数字)が,20代では,わずか約3%で,30〜50代では,約9%,約7%,約5%であることは,校内研修が中止になり,個人研修となっても,校務分掌,学級事務,個別指導,部活動等々に当て,個人研修を実際にするのは,たいへん少ない事実がうかがわれる。
規模別にみると,1(丸囲み数字)は中規模校が約67%で多く,2(丸囲み数字)は小規模校が約34%と多くなっている。男女別にみると,1(丸囲み数字)は女子教員が約69%で多く,2(丸囲み数字)は男子教員が約37%と多くなっている。(資料略)このことからも,個人研修を行わないで,分掌事務や部活動等に時間を多く使っている実態の一面がうかがわれる。
このような問題点の要因には,分掌事務の煩雑さや個人研修の内容・方法のあいまいさ等が,主として考えられよう。
この問題点を改善するには,
○ 学校経営過程全体の中で,分掌事務処理の効率化を図り,個人研修の場と時間を確保すること。
○ 校内研修推進計画の中に,個人研修を意図的に組み込むなど,研修体制を作ること。
○ 校内研修における個人研修の内容・方法・計画等を明確にしておくこと。
○ 個人研修を変更するときの連絡,準備等に十分の配慮をすること,などが考えられよう。